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shunichiro0083のアイのダメヲタ日記-感想と推測と妄想の終わらない円舞曲

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2006年 01月 19日

「THE EDGE」01のこと

・連載中もそれなりに読んでいたつもりの「THE EDGE」ですが、こうして一刷のコミックスになってものを読み返してみると、面白い、という感想を改めて持ちます。
 TV本編と比較しながらになるのは当然のことですし、仕方のないこととTVスタッフには諦めてもらう他ありません。で、やっぱりTV本編と比べても、こっちの方が面白いとうか、何を言いたいのかがより鮮明に伝わって来ると言うべきか。
 この「01」の頃と言うのは本編と殆ど描写が同じなのですが、それでもドラマの焦点が絞られているからこの場合の主人公である、アスランの苦悩や境遇がより一層鮮明に伝わって来るのですね。これはシンを中心にお話を構築して行った高山版も同じです。
 回想シーンも必要最低限に押えられていますから、話が途中でダレたりすることもないというのもいいですね。
 絵柄も言い方は悪いですが女性好みの、しかしデッサンの狂いも少ない好感の持てるものになっていますし、メカ絵も頑張って描いているのが読んでいるこちらにも伝わって来ます。
 高山先生の絵は男は兎も角、女性には違和感を持っている人も少なからずいるようなので、そういう人にはこの久織ちまき先生の絵柄は受け入れ易いんではないでしょうか。ただ、「ガンダムA」の客層を考えると微妙かもしれませんが。

・確かに、本編はナレーションを極力排し、回想シーンを多用することで視聴者に心理描写を連想させると言う手法を採ったのではないかと言われています。が、それが成功しているのかどうかは疑問符を付けたい所です。
 今作ではアスランの心理を描くのにモノローグを用い、その内面を正確に表現すると言う方法を採っています。これをレベルが低いと言うのは簡単ですが、それで作者が伝えたいものが精確に伝えられるのなら、それこそを評価すべきではないかと思います。
 実際、この1巻ではアスランが単身プラントに乗り込むまでが収録されていますが、その内心の理由が語られており、それは表向きの理由よりも得心が行くものでありました。
 そしてそれはかっての戦いと密接に結び付いていることも明確にされており、あのプラントへの渡航がオーブや世界の為に出来ることであった以上に『何の為に戦うのか』という、アスランの個人的命題の為であったことも分かります。
 いや、それが「種運」として正しいか正しくないか、ではなく、この解釈がそれなりに筋が通っていて納得が行くものだ、ということがこの際重要だと思うので。

・実際、本編8話を見た当時の感想もどうしてあのタイミングで、アウランがオーブの特使としてプラントに行くのかが分からない、という旨のことを書いていましたし。
 しかしながら、あの行動がアスランが抱え続けた自分自身の疑念と向かい合う為の行動だとするなら、それの利己的な側面を度外視するならそれなりに説得力のあるものだったと思う訳です。
 その結果、アスランは泥沼にはまることになるのですから、そういう意味でも因果応報と言えるでしょうね、今後の展開は。
 しかしながら、本編の流れだとオーブの為にとプラントに行っておきながら、そこで議長とミーアに懐柔されてF.A.I.T.H.に任命されて、ナチュラルと戦う破目になってしまうというていたらくな訳で。正直、理解に苦しみました。
 で、これが自分だけなら「読解力がないなあ、俺」で済むのですが、どうやらそうではないらしい。それなりの割合で、本編の展開を読み解けずに苦しんでいる人がいたらしい。
 まあ、「種運」本編が高度で、難解な芸術作品であるならごく一部の人間だけが理解出来るというものでもいいのだろうけれど、実際はそうではない。TVアニメという、大衆娯楽の最たるものである訳で。
 ならば、そこに込められているものは最低でも最小限の手解きで、それを見た多くの人がきちんと伝えたいことを理解出来る-そういう造りでなければいけないのではないかと、そう思うのです。

・話がずれましたが、アスランが主人公に据えられているだけあってこの「THE EDGE」という作品はその行動や心情がよく理解出来ます。
 今作でのアスランを突き動かす衝動-それは「一体何の為に戦って来たのか」という問いかけです。祖国を離れ、軍と戦友を裏切り、父とも決別した末に選び取った筈の世界の現状-こんな筈じゃあなかった、とアスランは思ったんですね。
 だからこそ、自分が願った世界を議長が到来させると信じ、再びザフトの軍服に袖を通すことになったのでしょう。まあ、大いなる勘違いだったのですけれど。「THE EDGE」は果たしてあの原作のオチを、どうやって料理するのでしょうね。
 正直、そんな真面目に読んでいなかったのでコミックスも色々楽しめています。続きを読むのが今から楽しみです。



・裏話をするなら、この「THE EDGE」はここのネタに困っている自分を見るに見かねた友人が貸してくれたものです(申し訳ない、Sさん)。しかしながら、こうしてまとめて読んでみると予想以上の面白さでした。
 Sさん、有り難う! 自分でも買い揃えるつもりです。

by shunichiro0083 | 2006-01-19 20:35 | コミック


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