2005年 07月 20日
・今回のお題であるマルチロックオンシステムとは、言わずと知れたフリーダム・ジャスティス・プロヴィデンスにのみ搭載された火器管制システムで、単機でありながら数十もの敵機を補足、攻撃する恐るべき性能を持つ。 ちなみに、フリーダム・ジャスティスはミーティアとの運用を前提とし-フリーダムは単独でも充分にその威力を発揮している-、プロヴィデンスは搭載されたドラグーンシステム(分離式統合制御高速機動兵装群ネットワーク・システム)を運用する為に必要不可欠なものであると言えるだろう。 どうやらMSに一騎当千の戦闘力を付与し得るこのシステムも並のパイロットでは使いこなせないらしく、前述の3機の他に確認出来るのはフリーダムの後継機であろうストライクフリーダムだけである-推測ではあるが、これから登場しミーティアを運用することとなるであろうインフィニットジャスティスと、ドラグーンシステムを持つレジェンドにも搭載されているのではないだろうか。 ・で、ここで疑問なのはどうして電磁波を阻害するNジャマーが散布された戦場において、フリーダムやジャスティスは敵機を捕捉出来るのか、ということである。 別段、プロヴィデンスは問題ない。生体レーダー兼生体VLSIとも言うべき特殊能力・空間認識能力がその代わりを十二分に務めるからである。そもそも、マルチロックオンというのは現実世界の戦闘機やイージス艦にもある能力であり、特に後者のそれは高性能フェーズド・アレイ・レーダーと対空火器を協同交戦能力(CEC)システムでリンクしたもので、単艦でも200以上の敵機をロックオンすることが出来ると言われている。 しかしながら、Nジャマーの散布が一般化したC.E.の戦闘にあっては長距離索敵の為のレーダーはほぼ無効となっており、逆に言えばマルチロックオンシステムとはMSが登場して駆逐された筈の旧い戦術なのであった。 ここで「フリーダムらにはNJキャンセラーが搭載されているじゃないか?」と言う向きがおられるかもしれないが、Nジャマーを無効化する能力を持つNJキャンセラーではあるが、その有効範囲は極めて限定的である。Nジャマーは数機あれば地球全域を覆いつくすほどの有効範囲を持つが、NJキャンセラーは精々十数mしかその効力を発揮することが出来ないのである。つまり、MSに搭載されたNJキャンセラーには核エンジンをNジャマーから防護するだけの能力しか持たないのであった。 ・では、索敵手段としてのレーダーが封じられた戦場において、如何にしてフリーダムとジャスティスは敵機を捕捉しているのだろうか。 これは僕の個人的推論になるのだが、以前「空間認識能力のこと」という記事を書いた。そこで僕は空間認識能力の第一として“生体レーダー”があり、それだけならば「種」のエース級のパイロットは皆持っているのではないか、と書いた。 ならば、この多くのパイロットが持つ生体レーダーならば、マルチロックオンシステムにおける索敵を肩代わり出来るのではないだろうか。無論、生体レーダーにもピンからキリまであり、キラやアスランクラスの高い能力がなければ運用出来ないのであろう。だからこそ、マルチロックオンシステムは戦艦や量産型MSに搭載されないのではないだろうか。 ちなみに、ミーティアは一度に77発のミサイルと、大小合わせて6門の高エネルギー集束火線砲を発射することが出来る。と、言うことは一度に83の敵機を同時に攻撃出来る、ということでもある。これを考えるなら、フリーダム及びジャスティスの(マルチロックオンシステムの)適格者に求められるハードルとはかなり高いものであると言えるだろう。 ・こうして考えると、カオスに試験的に搭載された量子化通信や、そこからのフィードバックであろうレジェンドの改良型量子インターフェイスにも一応の説明は付く。 プロヴィデンスに搭載されていた初期のドラグーンシステムは攻撃端末の位置の把握や処理・制御をパイロット側に依存しており、その為適格者は高位の空間認識能力者に限られていた。恐らくだが、システムとしては量子通信と、デバイスとパイロット側とのデータリンク機能が殆どだったのではないだろうか。 しかしながら、より簡易化された量子化通信や、これのデータを受けて更に普遍化が進められた改良型量子インターフェイスは前述の攻撃端末に関する制御の一切を引き受け、パイロットに要求されるのは生体レーダー能力だけなのではないかと推察する。“真の”空間認識能力者でなくとも、優れた能力=生体レーダー能力を有するMSパイロットであるなら扱えるようになったのだ。 これがつまり『パイロットを普遍化した(とはいってもかなりの技量を必要とするが)/HGカオス インスト)』であったり、『量子インターフェースの改良により、誰でも使えるようになったドラグーンシステム/SEED120% なぜなに質問箱 第17回』とか、にも関わらず『(レジェンドは)パイロットを選ぶ機体/公式サイト』とかが意味することなのであろう。 ・ストライクフリーダムが搭載する“スーパードラグーン”がこれらの延長線上にあるかどうかは定かではないが、もし仮に改良型量子インターフェイスの技術が使われているとするなら、マルチロックオンシステムを完璧に使いこなしていたキラならば、多少勝手は違っても操ることはそう難しくはなかったのではないかと推測する。 ・改良型量子インターフェイスについてを絡めないのであれば、マルチロックオンシステムの索敵に関する問題点はもっとすっきり解決しなくもない。 それは索敵は機械式/生体式を問わずレーダーセンサーに頼っているのではなく、全て肉眼で捕捉したものをロックオンする、というものである。これだと自動追尾は望むべくもないが、ビームならば別に必要ないし、ミサイルならば近接信管なりIRセンサーなりを組み込んでおけばいいのだから、結構使えるのかもしれない-後者は別に、マルチロックオンがどのような方式であっても有効であるが。 パイロットはコクピットのモニターに映し出された敵機の一つ一つを凝視し、その視線は火器管制システムの視線入力センサーによって特定され、ロックオンが完成する。 ・ここでも問題はこのマルチロックオンの索敵が間接的にとは言え、パイロット個人の技量にかかって来るということであろう。遠距離云々に関することは機体の性能-カメラの性能やモニターの解像度-も関わって来るが、そこに映し出された数十の敵機を極めて短時間で捕捉し、ロックオン出来るかどうか。無論、並のパイロットでは到底無理だろう。 ここでも熟練の、或いは他を圧するほどの優れた視覚の持ち主でなければ使いこなせないシステムとなってしまったのではないだろうか。 ちなみに、アフリカはマサイ族の方々が視力5.0を有しているというのは結構有名な話であると思うが、そうなるとマサイの人は裸眼で月のクレーターをはっきりと見、火星や金星をくっきりと丸いものと認識するのみならず、土星の輪すら朧気ながら見ることが出来るのだという-事実、そういう証言もある。 この能力もアフリカの草原を離れ、都市で生活するようになると途端に低下してしまうらしい。だとすれば、生粋の都市生活者でPCのディスプレイをほぼ毎日見ていたであろうキラやアスランがそこまでの超絶的な視力を持っていたとはあまり考えにくい。 が、視力とは眼球とそれを信号として受け取る脳組織の問題でもあるので、スーパーコーディネイターたるキラや、サラブレッド的存在であるアスランなら眼球側ではなく、視知覚皮質中枢側で解像度を上げることで優れた視力を獲得しているのかもしれない。 ・一方では現実問題として、フェイズド・アレイ方式のレーダーならば電磁波の代わりにレーザー光を用いることが可能ではないかと言われている。が、画面からは長距離索敵が成功している風には見えない。 ならば、何らかの技術的困難によってそうしたNジャマーによって封じられた長距離索敵や通常通信は未だ復活していない、と考える方が妥当なのではないだろうか。 それが出来ないからこそ、改良されているとは言えドラグーンシステムが搭載されたレジェンドが開発されたのだろう。無線通信が可能であるのなら、それは通常のレーダーが使用可能になっているということであり、旧来の精密誘導攻撃も復活している筈だからである。
by shunichiro0083
| 2005-07-20 19:59
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