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shunichiro0083のアイのダメヲタ日記-感想と推測と妄想の終わらない円舞曲

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2005年 05月 22日

PHASE-31 明けない夜

・やはり、まともに考えるなら銃殺刑に値する罪だったようです、シン。そうなるとレイは罪一等が減じるくらいで、ザフト刑務所にて終身刑でしょうか。
 いや、結局それまでの功績を考慮して一切が不問に処されてしまった訳ですが。しかし、ここに議長の影がちらついて来るとなると話は別です。シンを処罰する、ということはそれの片棒を担いだレイも処罰しなければならない、ということで非常に都合が悪い。幸い、シンには勲章ものの軍功があるのだから、それと相殺することにすればいいだろう-こんな感じでしょうかね。
 大体、多大な功績はシン一人のものであり、こういう言い方もナニですがレイには関係のない話です。仮にシンの罪がそれで相殺されたとしても、自らの意志でシンを助けたレイの罪がなくなる訳ではないでしょう。
 いや、あれは単にシン一人の功績ではなく、ミネルバ全体の手柄であるから、レイの罪も相殺されても問題ない、というのであればレイも勲章を貰えるでしょう-あの噂好きな若手クルーがそんな話をしない、と言う方が不自然です。ミネルバ全体の功績としてなら、艦長を始めとするクルー全員に特別休暇と金一封が出てもおかしくない。
 けれど、本編でそういう描写や台詞がないのなら、やはり勲章ものの功績はシン一人のものとして判断すべきでしょう。にも拘らず、今回の一件に関わったすべての人間の罪が不問に帰されたのなら、やはりそこには実力者の影を疑って然るべきなのではないでしょうか。

・また、ネット上で囁かれていたシンの増長もここから始まるようです。営倉でアスランの説教を不貞腐れて聞いたり、反論していた内はまだマシだったのですが、無罪放免を言い渡されてからは増上慢一直線ですね。
 確かに、アスランの言う軍の論理は正しいのですが、個人的な感情や判断がそれよりも上に立つシンには単なる正論以外の何物でもありません。それどころか、『どうしてこの人は俺の気持ちを分かってはくれないんだ?!』的な怒りや憎しみを煽る結果となってしまったようです。
 レイもそれまではあった上官に対する礼儀を捨て去り、シンの擁護に走ってしまいます。まあ、これは同時に自己の保身でもある訳ですが。シンを庇うということは、自分の行為の正当化である訳ですからね。それを巧妙に友人を庇う、という形でやる辺りレイはしたたかです。

・アスランはね、シンのことが嫌いではないと思います。ただ、扱いあぐねているのも事実でしょう。正真正銘のエリートであったアスランは、個人個人では反目しても、そうした感情を軍組織としての利益や規律よりも優先させる、ということを理解出来ないのではないかと推測します-自分はジャスティス奪ってアークエンジェルに走るとかしてしまっている割に。
 だから、シンという人間が今一つ理解出来ないのでしょうね。そういう意味では、はみだし軍人な訳です、シンは。「種運」のアスランが人気がないのは、そういう組織の論理の代弁者になってしまっている-ひいては、画面上で否定的に扱われている部分ではないかとも思います。
 「種」でのアスランていうのは結構、模範的な軍人であるように振る舞いつつ、要所要所では個人としての判断を優先させていた人物でしたからね。ストライクを撃墜させなかったり、モルゲンレーテで再会したキラを見逃したり。僕はアスランというのは、そういう意味では人間味のある、血の通ったキャラクターであったと思っています。
 しかしながら、「種運」でのアスランはあまりに組織人になりすぎてしまい、本来もっていたいい意味での破天荒さがなりを潜めてしまったように思えてなりません。つまり、恋人のカガリ同様状況に飲み込まれてその良さを発揮出来なくなってしまっているのではないか、ということです。
 それでも今回のステラの一件まではシンがあまりにお子様過ぎた為に、アスランは苦労人だなあ、というポジションに踏み止まれていたと思います。しかし、物語が完全に非常識なシンを是とする方向に流れてしまった為に、特に今回のアスランは情けない敵役、という風な描かれたかになってしまったのではないでしょうか。

・もう一つ特筆すべきは、アスランがシンにした説教が無意味なものになってしまっただけでなく、それが否定されたことがかえってシンの増長を促してしまったことではないでしょうか。
 あんな慇懃無礼な物言いをする子じゃなかったのに、シン・・・。
 下馬評通りでいけば、来週はシンに最大の悲劇が訪れる筈です。そしてそれは取りも直さず、アスランの今回のシンへの言葉の正しさが立証される、ということでもあります。また同時に、今回の一件におけるシンとレイの判断が間違っていたということになるのかもしれません。
 いや、まあ、確かにステラを連合軍の所に帰したことで彼女は命を取り敢えずは延命することに成功したのですから、そういう意味ではシンの判断は正しかったのでしょう。しかしながら、ステラという一応完成されたエクステンデッドを取り戻した連合軍が、そのまま兵器である彼女を戦いから遠ざける筈がない、という所まで考えが至らなかったのならやはり大間違いですね。
 無論、ステラが帰らなくともデストロイは動き、ユーラシアの都市は灰燼に帰し、ザフトの陸上部隊も全滅したでしょう。ステラがいなければ、オクレ兄さんが搭乗しただけなのかもしれません。
 しかしながら、ステラはミネルバにいればあんな大量虐殺を行わずには済んだでしょう。ステラの手を血で染めさせた直接の責任はジブリールとネオが負うにせよ、そこにシンとレイが加担してしまったのは紛れもない事実なのです。

・しかし、ユーラシア西部とか言っていたような気がするけど、「西部」って何処なんだろう。あの冬まっさかりの画面を見る限りでは「東部」のような気がするのだけれど・・・。それとも「ユーラシア連邦」っていうのは「ソ連」に相当する国だから「西部」なんだろうか。だとすると、かなり視聴者に優しくないアニメのような気がする。
 ちなみに、「種」オフィシャルファイルメカ編Vol.2には「ユーラシア大陸北部からヨーロッパに至る諸国で構成される」と書かれております。念の為。

・あと、ここで暴れるデストロイを迎え撃つザフト軍ですが、一体どこの所属の部隊なんでしょう。っていうか、ザフトは一体全体幾つ地上に基地を持っているんでしょうねえ。カーペンタリアとジブラルタルだけじゃなかったんでしょうか。
 あんなに地上に軍事拠点があるんなら、別にプラント本国から救援部隊(ブレイク・ザ・ワールド事件の時)やカーペンタリア支援の降下部隊(オペレーション・スピア・オブ・トワイライト発動時)を送ることもなかろうに。
 なんかもう、ここまで来ると好意的な解釈がかなり難しいです。って言うか、二分強もアバンタイトルやっているくらいなら、デストロイが接近しているのを基地オペレーターが発見してスクランブルをかけたり、周辺住民に避難勧告を出すとか、そういうシーンを入れてくれればいいのに。
 そういうものがないから、かなり唐突な印象を受けましたよ、デストロイの虐殺シーン。焼かれる町並みも同じだから、既に三つの都市が壊滅しました、とか言われても全然ピンと来ないし。
 確かに、最初の一撃でザフト部隊もろとも都市が焼けるシーンがあったのだから、カットが変わればそこで描かれている都市も違うものになっているのは当たり前なのかもしれないけれど、それならそれで描き方というものがある筈。“ボナパルト”の字幕を入れるくらいなら、焼かれる都市毎にその名を字幕で入れてもいいのではないかと思いますね。

・しかし、それにしても強いなあ、デストロイ。
 超強力な主砲に、無尽蔵のミサイル、全方位に配置された副砲、空飛ぶ腕にもビーム砲と驚異的なまでの火器。陽電子リフレクターに、対ビーム装甲に(多分)PS装甲と完全な防御。加えて変形機能に、飛行能力-サイコガンダムのオマージュなんでしょうか。
 しかしもっと凄いのはアレを搭載して、整備や補給をこなせる艦船が連合軍にあった、ということでしょう、多分。

・ネオはジブリールからの信頼を失いかけている様子です。ミネルバ追撃の任務から外され、中央への反抗激しいユーラシア西部の鎮圧の任務に回されてしまいました。
 シンと交わした約束も忘れている訳ではないのでしょうが、やはりそこはネオも組織の人。上司たるジブリールの命令に逆らえる訳もありません。それでもデストロイが完成していなければまだマシだったのでしょうが、ステラとシステム上相性のよい機体を使え、という命令が来てはどうしようもないのでしょう。
 興味深いのは何故自分を乗せないのか、とオクレ兄さんに聞かれたネオが吐き捨てるように「データ上でな」と適性を語るシーン。人為的に遺伝子を細工されたコーディネイターを忌み嫌うブルーコスモスであっても、誰が最適かを科学的データで判断するということは彼が信望する「自然」とは相反する考え方のような気がします。
 まあ、自然な生命を人の手で改変する-ブーステッドマン-ことは構わないのですから、やはり身勝手な考えだと思わざるを得ません。
 けど、お願いだからネオはブルーコスモスを裏切って“いいひと”とかになって欲しくはないですね。ネオにはこのまま組織人としての生を全うして欲しいと思います。意外とそれが、アスランとの対比になるのかもしれないですから。

・オクレ兄さんはステラのことを全く覚えていない様子。ステラも“最適化”で都合の悪いことは全て忘れさせられてしまったようです。

・タリア艦長もシンの一件については若干の責任を感じているようです。エースとはいえ、まだ歳若いシンを追い込んでしまったことを後悔しているのでしょうか。「我々の責任云々」というのも、意外とそうすることでシンの減刑を、と考えていたのかもしれません-その思惑は全く外れる訳ですが。

・アーサー、今回もいい驚きップリでしたねえ。「チ~チ、オォッパァ~イ、ボインボインッ」とか歌ってくれんかのう、娯楽施設のカラオケかなんかで(レイの伴奏ならなお可)。

・そのレイの営倉での台詞は「FATES」の回のクルーゼの台詞を彷彿させましたね。けど、この二人の言葉には「人事を尽くして天命を待つ」が持つ清々しさよりも、虚無的な響きの方を強く感じますね。

・アークエンジェル、スカンジナビア王国国王の個人的な友誼で匿われているようです。そういうのはもっと早くに言うべきではなかったではないですかね。ここまで話が進んで来て、台詞一つで済ますのは正直どうかと思います。

・キラは迷い、マリューはそんなキラを是としますが、「愛する人を守る」なら他にやり方があったのではないかと思いますね。オーブや連合を巻き込む理由にはならないし、そんなんで少なくない犠牲を出すのは間違っているんじゃないでしょうか。
 逆に、キラはラクスが狙われなかったらどうしていたんでしょうね。やっぱり、母やラクス、マルキオ導師、孤児らと平和な暮らしを満喫していたのではないか-そんな気がしてなりません。

・最後にですが、シンはステラの身を案じるのなら、艦長を脅してでもロドニアに戻してあの研究施設から薬物や資材を押収させたものを使うべきではなかったではないでしょうか。
 そうすれば最悪でも銃殺刑は免れたでしょうし、ステラを無事にプラント本国に連れて帰りたいタリア艦長や船医もそれほど強く反対はしなかったでしょう。むしろ、話を巧く持って行けば積極的になってくれたかもしれません。
 何せ、エクステンデッドは生かして連れて来い、という命令なのですから、その為に最善を尽くすのは軍人として当然のことです。この提案はそんなに悪いものではないでしょう。アスランに相談していれば、これくらいの知恵は出してくれたかもしれません。それが出来なかったのはシンの性格か。それともアスランの人望のなさか。
 ひょっとしたら、先週のアスランへのシンの憎まれ口は、ステラのことを相談しようとしても出来る雰囲気ではなかったことに対する苛立ちだったのでしょうか-今となっては真相は藪の中、ですが。

 満足度=☆☆/2★★★(一個半)

by shunichiro0083 | 2005-05-22 13:55 | 感想


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