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shunichiro0083のアイのダメヲタ日記-感想と推測と妄想の終わらない円舞曲

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2005年 02月 20日

PHASE‐18 ローエングリンを討て!

・マハムール基地からローエングリンゲートへと通じる渓谷を進むラドル隊とミネルバ・・・ホントに浮かんでます。まあ、作劇上の都合だから、と言ってしまえばそれまでですが(Mクラフト積んでいないアーガマも1G下飛んでましたしね)、ちょっと悲しいものがありますなあ。

・作戦開始直前のブリーフィングのシーンはお話の整理をし、視聴者に要点を説明するという点では望ましい展開だと思うのですが、あそこまで時間的に余裕のないなものはどうかと思ったりします。
 僕の持つ知識で考えるなら、ああいう基本的な打ち合わせはそれこそマハムール基地で行われていて、レジスタンスが提供する極秘データを待ってのものは極めて短く行われるものではないかと。
 何せ、作戦開始直前のタイミングで行われていましたからね、アレ。データの検討だって必要だろうし、それ次第では作戦の中止だって決断しなければならなかったでしょう。あんなんでよく、成功したよなあ。

・そのブリーフィングではシンが生来のお子ちゃまぶりを如何なく発揮しますが、何気にあやし方の上手いアスランにいいようにされてしまいます。この辺り、カガリのお守りをしていたであろう、オーブの2年間の経験が活かされているのかと思うと泣けてきます。
 しかし、まあ、人間一回くらい説教されただけではそうそう変わらないのは実感として理解出来るのですが、部隊のエースパイロットがアレではザラ隊の今後の苦労は終わりそうもありません。
 確かに、あれではレジスタンスの少女も心配になるでしょう。
 その反面、コニールから聞かされる連合軍の圧政にシンの心の怒りに火がついたようです。このことが後の暴力的描写へと繋がっていきます。

・そのレジスタンスの少女が持ってきたデータに基づき、ローエングリンゲート攻略作戦は発動します。
 それは忘れ去られた廃鉱をトンネルとして、一気に陽電子砲台に肉薄するという作戦です。ここで機体が三つに分割し、かつ、長距離の精密移動が可能なシルエットシステムを持つインパルス(とそのパイロット)に命令が下る訳です。
 驚いたのはチェストフライヤーとレッグフライヤーにあそこまでの長距離移動能力と、精密移動性能があったことです。なんか、無人操縦であそこまで出来るのなら、別にシンいらないんじゃないの、とか思いましたよ。
 シンもどうせデータだけを頼りに飛ぶのなら、下手に操縦しないでコンピューター任せにしておけばいいのに、とも思いましたね。実際、チェストとレッグの方は危なげなく飛んでいましたから。
 このインパルスによる奇襲作戦を成功させる為に、ミネルバやザラ隊は正面からの陽動作戦を仕掛けます。ここでのタンホイザーと陽電子リフレクターの正面衝突は、後に陽電子砲台の爆発よりも凄いキノコ雲を発生させます。いや、凄かった。予告で見た時はてっきり、連合軍要塞が爆発したんだろうと思ってましたから。

・で、そうこうしている内にシンは廃鉱の突破に成功し、シルエットなしのノーマルインパルスに合体します。よくよく考えると、このシルエットパーツなしのインパルスが本編に登場するのはこれが初めてなのですよね、実は(コアスプレンダーのミサイルを使ったのも)。
 この後のインパルスの戦闘は結構、えげつないです。っというか、シンは意識してえげつなく戦っているようにも思えます。あそこでシンが行うべきはいち早く、陽電子砲台を射撃出来る位置を確保し、陽電子砲台を破壊すべきだった筈。っていうか、廃鉱から飛び出して合体した瞬間の位置なら、陽電子砲台を上空から狙撃出来たのではないだろうか。おそらく、それこそアスランが期待し、コニールが願った千載一遇のチャンスだったろうに。
 しかも砲台基部を外れた位置に降りてしまったシンはいくら邪魔だとは言え、対空砲座を撃ったり、ダガーLを攻撃したりと少し不可解な戦術を見せすぎだったのではないかと。これがどちらか一方だったらそれほど引っかかりはしないのですが、両方一遍に見せられると、ね。
 だから、あんな無茶なやり方で陽電子砲台を破壊するしかなかったんでしょう(きっと士官学校では戦術戦略の授業はサボっていたに違いない)。

・いや、返す返すもゲルズゲーの出番があんまりなかったのが残念です。最低でも、ザムザザー並みの活躍を期待していたのですが。
 多足歩行をしてみたり、二挺ライフルをぶっ放したりと、やりようによってはもっと見せ場は多く出来たのではないかと思えるだけに残念です。
 メカ的にはザムザザーでは倒立ポジションを採らなければ全面のの敵に対して陽電子リフレクターを展開できなかったものが、ゲルズゲーではそれが改善されて普通の状態でもちゃんと防御出来るようになっていたのがなかなか良かったですね。
 ただ、不意を突かれた所為か、セイバーにいいようにやられてしまったのが残念でした(ここだけ見ると、インパルス&シンよりセイバー+アスランの方が強く思えてきます)。まあ、その分、セイバーが格好良いから±0ってとこでしょうか。

・作戦の説明を譲るアーサー‐けど、アスランの説明にあからさまに頷いてちゃあ、説明できないのか、と疑われても仕方ないよねえ。
 そういうキャラですか、そうですか。

・追いすがるルナマリアをさりげなく躱したアスラン。少なくともそう思い、疑問を投げかけるも曖昧な返事しかしないレイ‐少なくとも、ルナマリアはアスランに気があるみたいですね(それにしても、何故あの場にレイがいたのだろう?)。

・僕は「種運」に関してディテールについてかなり手厳しい見方をしてしまっていますが、それはこの作品が「リアルを指向している」というスタッフの談話を見聞きしているからです。
 よく言われることですが「神は細部にこそ宿る」という言葉があります。完全なフィクションであっても、その根っ子には現実世界に生きる我々と同じモノがなければそれは単なる戯言になってしまいます。
 まして、「政治」や「戦争」「非戦」という重いテーマを扱おうとしている「種運」ならばこそ、そうした「押さえておかねばならない細部」をきちんと描写しなければならないのではないですかね。

・それでいて、本来ならばそこまで描かなければならないのか、と首を傾げざるを得ないようなシーンまで詳細に描写されているのも事実です。
 インパルスのフォールディングレイザーでコクピット前の装甲を切り裂かれたダガーLのパイロットの、血を吹いて死んで行くその断末魔の姿。
 今まさに収納されんとする陽電子砲台を守るダガーLのコクピットに同様にフォールディングレイザーを突き刺すと、それを閉まりかけた開閉口の上に叩き付け、CIWSを連射して(コクピット周りに!)誘爆させることでようやく砲台を破壊する。
 基地を破壊され、それまで圧政を強いてきた民衆に石もて追われる連合軍兵士たち。物資は略奪され、連合の旗は燃やされ、踏み躙られる。
 そして逃げ遅れた連合軍の人間は兵卒も、将校も問わずリンチ同然に処刑されて行くその有様。

・まあ、「種運」のプロデューサーはそうしたものも含めて戦争というものを考えて欲しい、ということらしいのだが。正直に言えば、これは土曜の夕方6時に放映する内容ではないとしか思えない‐今に始まったことではないが。
 何が問題かって、征服民が軍に虐げられているのは駄目だけれど、立場が逆転したらそれまで虐げてきた側は問答無用に殺されても構わない、という風に見えるようなつくりではないだろうか。
 確かに、アスランはそれに気付いていて冷ややかな目でそうした風景を見つめているけれど、全体的なムードにまで逆らおうとはしない。町の皆から英雄扱いされているシンはそれらの光景には気付いておらず、ブリッジのタリア艦長も知ってか知らずかそうしたことに言及はしない。ただ、溜息をつくのみ。

・これはどうなんだろう。ただ、現実にある民族問題をそのままトレースしているだけでは、何の為にフィクションの世界に仮託しているのかわからないのではないだろうか。現実を舞台にしては語りにくいテーマだからこそ、製作者は絵空事の世界を選択したのではなかったのか。
 本当に種運が「戦争」を「非戦」というものを考えるのなら、あそこではそうした風景を否定し、その行為を批判しなければならなかったのではないだろうか。例えそれが、浮世離れした行いであっても、である。
 しかし、「種運」はそうはならない。何故なら、主人公たるシンはそうした「世界の狂気」に飲み込まれてしまっているからだ。言い換えるなら、自ら「憎悪の連鎖」の中に身を置いている人間‐それがシン・アスカなのである。
 そして、一人戦争の中で正気を保っていたかに見えたアスランも結局、狂気という名の現実に屈し、再びMSを駆っている。アスランは気付きながらもそこから目をそらし、気付かないふりをしているのだろう。その割り切りこそが、部下の命を預かる指揮官に必要なものの一つなのだと、知ってしまったから。
 かってキラやアスランはそんな「狂気」に飲み込まれたくないと願いながら、それは叶わぬ夢で終わってしまった。今度も、そうなってしまうのだろうか‐少なくとも、自分にはそうとしか思えない。今はただ、そうはならないことを祈るのみ、である。

・来週はなにかと話題なハイネやグフ、ミーア専用ザクなんかが一挙登場のようです。我らがデュランダル議長も満を持しての再登場で、戦争の裏側を語ってくれるとか。
 しかし、MSパイロットが呼ばれているのに一人、仲間外れとは。アーサー副長が本当に哀れに思えて来ましたよ・・・。

 満足度=☆☆/2★★★(一個半)

by shunichiro0083 | 2005-02-20 13:12 | 感想


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