2005年 02月 05日
・今回はインド洋上にて発生したネオ率いるファントムペインと、ミネルバの戦い。 ネオはその際、戦力として建設中の連合軍の基地からウィンダム30機を徴発しますが、そこでの強引な遣り口を見る限りでは、やはりネオは通常の部隊指揮官よりも高い地位にいる様子が伺えます(副官もいたのかもしれないけれど、群衆に紛れてしまってよく判りませんでした)。 また、この基地はカーペンタリア攻略の為のものなのですが、普通に考えるとユニウスセブン落着の前から行われていたと考えるべきかな、と。そこいら辺から考えると、オーブを連合に取り込んだのも対カーペンタリア戦略の一環であるという感じです。 この基地建設も実際に働いているのは肌の色が褐色の原住民で、それを監督している連合軍の将兵は白人のようでしたので、どういう経緯かは不明ですが同盟国であることを楯にとって強引に連合軍の基地を建設していた、という印象を受けました。 それだけでも悪役なのに、インパルスとガイアの戦闘のどさくさに紛れて逃げ出そうとする原住民を銃殺しているので、視聴者の目にはもう連合軍の極悪非道ぶりが焼き付いてしまいます。 その一方、ガイアの戦術的撤退で自由になったシンは無防備となった建設途上の基地を破壊していきます。リニアガン・タンクを破壊し、対空砲座を破壊し、基地施設を切り裂いて爆発炎上させると、フェンスを引っこ抜いて強制労働で引き離されていた家族を再会させるのでした。 が、一連のこの行為がアスランのシンに対する叱責に繋がるのですが、それは後述。 ・しかし、この基地と戦場となった海域の距離がはっきりしないのでなんとも言えませんが、少なくともガイアが遠浅の海の上を走ってこれるだけの距離であったのは事実。 また、PHASE‐15の最後がミネルバの出港と連続したカットであることも合わせて考えると、カーペンタリアとあの連合軍基地の距離はかなり、近いのではないかと推測されます。にも関わらず、ボスゴロフ級ニーラゴンゴの艦長はあの基地についての情報を何も知らなかった。 真っ直ぐに考えるなら、カーペンタリアは少なくともあの基地を発見出来ていなかった、ということになります。僕は現実の軍事にはあまり詳しくはないですが、それでも戦時中であれば基地周辺地域の哨戒活動。そして周囲に対する情報収集は行われているのではないかと思います。 他方、あれだけの基地を建設する為の大規模な工事が始まっているなら、資材の輸送搬入や、また、大々的な原住民の徴発などが表沙汰にならない筈がないのではないでしょうか。確かにタイトルからすればインド洋での出来事ですし、画面では判らないだけでオーストラリアのカーペンタリアからは距離があるのかもしれません‐けど、ニーラゴンゴの艦長「こんなカーペンタリアの鼻っ先にか?!」とか言ってるしなあ。 それならやっぱり、墨俣の一夜城ではないのですから、攻略基地が隠密裏に建設されていたので気が付きませんでした、ではあまりにナニなのではないかと思いました。まして地球上に二つしかない拠点の内の一つなのですから、もう少し警戒活動は頻繁にやってほしいなあ、と。 それともあれは単なる兵站用・後方支援の為の拠点で、距離云々は関係なかった、とか。けど、そんな役目はオセアニアの同盟各国に分担させるのではないかなあ。やっぱり、カーペンタリア攻略の為の軍事基地だったと考える方が妥当のような気がします。 次回で、この辺りの説明もあるのでしょうか(アッシュの時みたいに)。 ・で、この名のもなき基地をMS部隊指揮官たるアスランの制止を無視し、完膚なきまでに叩きのめしたシンでしたが、この勝手な振る舞いがアスランの怒りを買います。 しかしながら、あの基地は放っておけば再び整備され、カーペンタリアに突きつけられる喉元の牙となりかねないので、それを破壊したシンの行為そのものは責められるべきではないでしょう。 ただ、上官の制止を無視して敵を追いかけ、その挙句に勝手な判断かつ更なる指揮官の言葉を無視してではまずい。これでは軍の規律は守れません。事実、画面では逃げ出そうとして、連合の兵士に銃殺される原住民の姿を見たシンが怒っての行動と見えます。 あれでは大局的な判断ではなく、個人的な感情で先走ったとアスランに叱責されても仕方がないことでしょう。挙句に、上官に食ってかかるし。部隊の皆の面前でやっている以上、あそこでは罰を与えなければ、軍規は守られません。一罰百戒の意味もあって敢えてアスランはハンガー内でシンを叱責し、頬を叩いたのでしょう。 しかし、一視聴者として見ると、2機しかないMSで戦闘指揮も何もないんじゃないかなあ、という感じもしました。実際、30対2では乱戦に持ち込んでの各個撃破しかない訳で。そういう戦術を採っている以上、あとは各パイロットの技量に任せるしかないような気がします。 また、僕の目にはアスランはカオスの牽制て手一杯で、ウィンダム(とネオ)を引き受けているのはシンだったと映りました。 それに、ネオ機を追うシンを制止するアスランの命令も具体性に欠けていましたしね。この空域を離れたらミネルバが危ないとか、もうちょっと言い方を工夫しないとシンはおろか視聴者も納得させられない。尺の関係か、今回はミネルバが深刻な危機に陥ったという印象もなかったですし。あれならば、指揮官機を落とそうと言うシンの判断も間違っていないように思えます‐まあ、そもそも勝手な判断を下している時点で駄目なのですが。 折角シンも頑張っているのだから、それがきちんと評価されるような状況にしてあげて欲しいものです。 ・あと、特に戦闘シーンで気になったのはセイバーとカオスですね(ガイアの水上疾走はある意味予測可能の範疇だったので。驚くよりは「キターッ!」という感じ)。 セイバーはMS形態でも空を飛べるのだから、あの状況で戦闘機形態に変形する意味がよく判らない。空戦時の運動性という面で考えれば、戦闘機の姿よりもMSの方が優れているというか比べ物にもならないと考えるのですがね。別にイージスのように、MA形態に変形しなければ使用出来ない武器とかがある訳でもないのですし。 この辺り「X」のエアマスターの肩透かし感とよく似ている気がします。むしろ、レイかルナマリアのザクを乗せての、サブ・フライト・システムとして使う方がキャラの絡みもあって面白くなるような気もします。 カオスはやっぱり、と言うか、案の定、と言うべきか。破壊された機動兵装ポッドは修復され、その上1G下でも使用出来る、という。ある意味、なんでもあり中のなんでもありな機体になっていましたね。ガンバレルとドラグーンシステムは、そんなに違うのでしょうか‐まあ、本編での描写を考えるならそういうことなのでしょう。 一方のアビスはその変形機能の本領を発揮して、モンゴメリ級ニーラゴンゴとそのグーン部隊を撃破。迎撃に出た2機のザクを歯牙にもかけない暴れっぷりです。あの変形機能は耐圧の為ではなく、水の抵抗を少なくする為のものだったのですね。それにしても、後方射撃にも対応しているとは。いやはや、脱帽です。 それにしても、何故ザクシリーズには地上の局面に対応した装備がないのでしょうね(「MSV」を除く)。水中戦用装備とか、空中戦用装備とか。もしそれらがないならないで、カーペンタリア基地でグゥルの一つも受領しておくべきではなかったかと思いますが。これではさしものレイも、活躍をシンに譲らざるを得ません。 それともバビやグフがあるからザクのそうしたパーツは製造されておらず、グゥルとの連携も想定されていなかった、ということなのでしょうか。 まあ、それならそれで最低限の説明は付きますが、何だかおかしな話なような気もします。だったら地上用の機体に乗り換えれば良いのに、とも。ザクのパイロットの二人は赤服だし、タリアがフェイスになったのだから、予備の機体としてゾノともどもミネルバが持っていっても別に支障はないと思いますがね。ハンガーにも余裕があるだろうし。機種変換云々もあるでしょうが、その局面に上手く対応出来ない機体で出撃するよりは余程マシなように思えるのですがねえ。 そもそも、こんなに用途限定の局地用MSを生産出来るだけの枠がユニウス条約にあるのなら、ニューミレニアムシリーズなんて開発しなくても良かったんではないかとも思うのですが(まあ、ユニウス条約が具体的にどんな条約なのかも本編では触れられてはいませんから。辛うじて判るのはミラージュコロイドによるステルスが条約違反なのくらい(補足の蛇足ですが、「海の上で」とタリアに否定されたアーサーの発言でしたが、水上艦艇ならばミラコロの恩恵は受けられると思うのですが。フィラデルフィア・エクスペリメントみたいに))。 追記:別のサイトに寄せられたコメントで「ミラコロでも航跡は隠せない」とありましたが、それはあくまで哨戒機が飛んでいればの話。レーダーにもソナーにも母艦らしき影が見当たらない、となればミラコロを疑うのは‐まして、宇宙で一度やられていることを鑑みれば‐むしろアーサーの方が正しいのではないかと思います。 っていうか、このやり取りから飛行するMSの航続距離が類推出来るかも。レーダーの有効半径の外から飛んで来ることは通常有り得ない、という固定観念がこの世界ではあるのかもしれません。 だからタリアも、アスランに拠点は見えないかと尋ねたのでしょう。 ちなみにソナーの有効距離は1.8km。レーダーのそれはイージスシステムで500km以上であると言われているそうです。(2/6)。 ・細かい人物描写は良いんですけどね、相変わらず。 連れて行って貰えないと拗ねるステラをあやすスティングとか、ネオに甘えるステラとか。アウルに暴言を吐かれても、口調一つ変えず切り返すネオとか。 再登場したファントムペインは家族的になって、なんかいい感じです。これでイアン・リーがいれば言うことなし、なのですが。 その一方、インパルスに撃ち抜かれ断末魔の瞬間、恋人の名を叫んで死ぬウィンダムのパイロットとか。逃げようとした所を銃撃にあい、血まみれになって殺される原住民。波打ち際に沈むウィンダムの残骸。こうしたことを重ねて、戦争の悲惨さを訴える、という意向なのでしょう。 何より、無言のままミネルバに背を向ける原住民というラストシーンは、彼らにとっては所詮連合もザフトも日常を奪う余所者でしかないのだなあ、という印象を受けましたね。スエズではどうなるのでしょうかね。 ・来週は再びストーリーの谷。人物描写が中心となるようです。シンとアスランの確執。流離いのアークエンジェル等で、戦闘は多分ないでしょうね。 そういうドラマ部分も大切なのだけれど、そういう中にも戦闘シーンを入れる工夫をして欲しい、と思うのは視聴者の勝手な期待でしょうか。 満足度=☆☆★★★(二個)
by shunichiro0083
| 2005-02-05 21:23
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