2005年 01月 10日
・さて、前回の回想が終わると視点はミネルバからオーブに切り替わります。と、言うことはシンの出番もここまで。 そんな中、ギルの専門がDNA解析であることがアーサーの口から語られます。そして、その会話の中からはやはりコーディネイターの中でも一種の選民思想があることが類推されて興味深い所です。 まあ、コーディネイターとナチュラルの対立の一方の根は選民思想な訳ですから、当たり前と言えば当たり前なのですが。コーディネイターの社会と言うものがどういうものなのかは今ひとつはっきりしませんが、少なくとも遺伝子の優劣が社会に出る際のはじめの一歩を左右する程度のことはあるようです。 ・さて、そんなこんなで場面は(多分)首長級の方々専用慰霊碑にお参りするカガリと、そこへやって来るユウナ。ここでユウナが黙祷を捧げるあたりは上手い、と思います。変なとこは描写が細かいんですよ。 ここからの車中での会話は爆笑モノです。本来なら関係ないんですよ、アスハとセイラン家の結婚なんて。少なくとも、オーブがまともな国なら。中立を破ってどこと条約を結ぼうが、世界情勢が不安だかろうが、それと今回の結婚話はなんの関わりもないんです。 まして、自分が好きな男と結ばれたいから、その想いを優先させて国を滅亡に追いやるなんてことと、ユウナとの結婚は完全に別の話なんですよ。余談ですが、カガリの追い込まれ方は自己啓発セミナーの遣り口にそっくりです。頭ごなしに人格を徹底的に否定され、本当にどうしていいか分からなくなるまで責め続けられて自身を喪失した所に救いの手を差し伸べられると、その手にすがり付かざるを得ないと言う。セイラン親子の手法はまさにそれですね。尤も、それをまんまと成功させた要因の一つはアスランがいなくなって、カガリが孤立無援になったことな訳ですが。 もうちょっと話がずれますが、今回カガリが政治絡みでここまで苦境に追い込まれるのは事情はどうあれちゃんとした側近やブレーンを置くことが出来なかった‐これに尽きると思います。だからこそ、カガリは老獪なセイラン親子にあそこまでしてやられている訳です。古い喩えで恐縮ですが、パタリロにはタマネギ部隊や長官がいるように、年若い元首にはそれなりの質と量を持った輔弼する人々が必要なんですよ。 勿論、製作者サイドとしてはそれではオーブがまともな国になってしまい、お話を転がす上では旨味があまりないということもあったのだと推測出来ます。まあ、お話の持って行き方も関係しますが、もしカガリがちゃんとした側近集団を手に入れていたら、セイラン親子にあそこまで翻弄させられずに済んでいたでしょう。アスランも、単身プラントに上がるという選択が今以上に説得力のないものになっていたであろうことは明白です(いや、ちゃんとした人達が揃っているから、安心して旅立てる‐とかいう展開にはなったかもしれない)。 で、劇中の事情を言えば本来、その役目を負う者こそ、セイラン親子であった筈なのですね‐多分。ここいら辺はセイラン親子がカガリの前で上手く振舞ったのでしょう。協力者であると見せかけてカガリを安心させ、その有能さを見せ付けて信用を取り付け、その一方で自分達の邪魔になりそうな人材は慎重且つ巧妙に政治の表舞台から排除して行く・・・。キサカがカガリの傍にいないのも傍証になるかもしれません。 ・で、短くも醜い遣り取りが終わるとマルキオ邸です。マリューさんと虎がなにやら、いい感じです。この時、虎がプラントへの移住を口にします。それにマリューを誘うのはさておき、ならば何故最初からプラントではなく、オーブに移り住んだか、ですよね。故国を捨てるのなら、そこには何らかの理由がある筈ですから。 なんで、個人的にはマリューや虎っていうのは父の後を継いで国家元首となったカガリをサポートする為に敢えて、オーブに移り住んだのかなあ、と思っておりました‐最初は。ラクスはね、プラントに居辛いというのはなんとなく分かります。旧政権時代とは言え一度は国家に対する反逆者となり、そのあともはぐれ部隊の指揮官となっていた訳ですからね。そりゃあ、居心地も悪いでしょう。民衆に多大な影響力を持つ彼女がプラントにいることは、現政権にとって都合の良いことばかりではないでしょうしね‐アスランの場合も、これと似たり寄ったりだと思います。 けど、こうなるとなんでマリューや虎がオーブにいたのかは分かりませんね。まあ、人間のやること全てに理由がつく訳ではない、と言ってしまえばそれまでですが。けど、その方法論で架空のキャラクターに納得力を持たせるのは至難の技でしょうねえ、とか言ってみたり。 ・で、夜‐その夜かどうかは分かりません‐、コーディネイターの特殊部隊がラクス暗殺に動き出します。いやあ、ハロは優秀です。キラでさえも気が付けなかった敵の来襲を察知するのですから。これ作ったアスラン、天才かも。 そういう訳で戦闘に突入です。マリューと虎の粉骨砕身の活躍と、キラの捨て身の行動でなんとかラクスの身は守られるのですが・・・なんで、夜襲してきた連中がコーディネイターって分かったんでしょう? これがブルコスなら、例のスローガンを叫びながら突入して来るだろうから、あっさりばれるんでしょうが。 まあ、暗視ゴーグルを備えている特殊部隊員と、裸眼でまともやりあってるマリューと虎、なんてえのは野暮な突っ込みなんでしょうねえ。けど、これが逆ならね。「こんな暗闇の中、ゴーグルも付けずに立ち回るなんて‐夜目を強化されたコーディネイター?」とか。台詞にするとすっごく、間抜けですが。 あと、バルトフェルドの仕込み銃もちょっとおかしかったですね。アレをサイコガンと表現している所もありましたが、あのサイズのちぐはぐさはサイコガンはサイコガンでもしげる・松崎が映画の記者会見でやった方じゃないの、という感じですが。 そんなこんなでMSアッシュ登場。そして、フリーダム復活です。しかしここの遣り取りから推測すると、どうやらキラはフリーダムが秘匿されているのを知らなかった様子ですね。で、発進シーンがセイバーと酷似していたのはご愛嬌。 アッシュも背中のミサイルポッドや肩部の2連装砲、腕部のビーム砲や果てはビームクローと、武装てんこ盛りだったのですが。フリーダムで、しかも種が割れちゃあ敵いっこありません。案の定、マルチロックオン攻撃でやられてしまいました。お気に入りだっただけに、少し残念です。こっちも武装を簡略化して、水中戦に特化した一般部隊向けの水中戦用量産型アッシュとかいう感じでの再登場を希望します。 しかし、「剣心」でもそうでしたが、「不殺」というのは時に残酷なものなのだなあ、と思います。やられる方は生殺しだし、「戦いを生業とする者」としてのプライドも傷付けられてしまうのですからねえ(まあ、そんなものはない方がいいのですが)。今回のキラはちょっとナニでしたね。 それにしても喋らないなあ、マルキオとキラのお母さん。マルキオはまあ、いいのだが喜久子さんにはちゃんと喋って欲しいと思う今日この頃。 あと、最後に。あれだけのドンパチをやられておきながら軍も警察も動かないのは正直、疑問でしたね。あの特殊部隊はどうやらザフトの所属らしいですが、だとすれば裏の外交チャンネルかなにかを通じてセイラン親子に連絡行っていて、それでオーブ当局が動かなかったとしか思えませんがねえ。どうなんでしょ。 ・で、来週はいよいよ旧クルー勢揃いでアークエンジェル発進です。何処にあんな図体でかいのを隠していたのか、とか。ノイマン達はみんなモルゲンレーテに入社していたのか、とか。サイは一体どうなっちゃうのか、とか興味は尽きません。 そして、キラは「卒業」宜しくカガリを式場から奪い去るのでしょうか? ああ~、楽しみでしょうがありません。 満足度=☆☆★/2★★(二個半)
by shunichiro0083
| 2005-01-10 11:16
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