2004年 12月 02日

シン・アスカのこと

・結局、シン・アスカという主人公は戦争をも厭わない、という人物であるように思える。
 第1話のラストで「まだ、戦争がしたいのかよ!」という叫びはナチュラルとコーディネイターとの戦いを忌避しているのではなく、同じ軍の仲間を殺された怒りから発っせられていたもののようだ。
 つまり、シンは理不尽な暴力によって身内を殺されたオノコロ島での過去がトラウマとなっており、それが現在の彼を支配している行動原理ではないか、ということだ。だから、ガンダム(これも重要な要因)を強奪し、己の身内に対する殺戮と破壊を恣にしたファントムペインの三人に対してあれ程までに敵意を抱いたのだろう。
 ユニウスセブン落下阻止についても「当たり前だ!」と吐き捨てたのは、その行為が「逆シャア」で描かれたようなそれぞれの立場を超えた純粋な地球に対する敬愛の念などではなく、単に上官からの命令だったからだろう。それ以外にも、ナチュラルに対して弱みを見せられない、とかアスランを放っておけないとか様々な理由があったにせよ、死に行くであろう地上のナチュラルを案じてでないのだけは間違いない。
 それどころか、志を同じくする仲間であったかもしれない者‐サトー率いるテロリストをその手に掛けねばならなかったという理不尽に対する憤りもあったろう。一つ分岐が違っていたら、あの場でミネルバらと戦っていたのはシンだったのかもしれないのだ。

・無論、主人公たるシンがこうしたキャラクターであることは作劇上からの要請であり、それは取りも直さず「種運」が「種」の否定であることを意味している‐たとえ、導入部に限ってでも、だ。
 それにしても、これはシンが視聴者に対してヒール(悪役)であることを意味する。通常、我々の概念としては戦争は「悪」であり、あってはならないものである。しかしながら、現在の所「種運」では戦争を避けようとするカガリの行いは現実的意見(に見えるもの)によって冷笑され、アスラン以外には理解して貰えない。
 カガリの言っていることは理想論であるとは言え、政治家が掲げる目標としては決して間違ってはいないのである。にも関わらず、それが受け入れられず、それどころか莫迦にされるというのはあのC.E.という世界が狂気に陥っているからであろう。信じるに値する隣人はなく、それどころかいつ実力を行使してくるのか予想もつかない、緊張した世界。
 シンというキャラクターはそうした世界の象徴でもあるのだ。シンだけではない。ルナマリアやギル、ジブリールといった新しいキャラクターは程度の差こそあれ、皆、時代の狂気に染まっている。狂気の只中で正気を保とうとするカガリやアスランは浮き上がり、拒絶される。

 まだ、世界に。そして、シン・アスカに救いは、ない。
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# by shunichiro0083 | 2004-12-02 12:29
2004年 11月 29日

対ビーム防御について

・さて、先の「PHASE ‐06 世界の終わる時」で見事、2次装甲でビームを弾いたアビスガンダムでしたがこれに類似した描写が「DESTINY ASTRAY(以下、種運アストレイと略)」であったのに気が付かれたでしょうか。
 「種運アストレイ」コミック版第3話では、エースパイロット同士の戦いと、その顛末が描かれた訳ですが、ここで登場したのはフォビドゥンブルーとソードカラミティ‐白鯨ジェーンと切り裂きエドの一騎討ちです。
 ちなみに「SEED  MSV」をご存じない方の為に解説しておきますと、「フォビドゥンブルー」はその名の通りフォビドゥンガンダムを元にした水中戦用MSで、例のエネルギー偏向装甲・ゲシュマイディッヒパンツァーを耐圧殻へと転用した機体です。もう一方のソードカラミティですが、こちらもカラミティガンダムの機体フレームを元に試作された白兵戦用MSで、背部に対艦刀二口を標準装備しています(「SEED MSV」は一応、ここで簡単にまとめられているので興味のある方はどうぞ)。
 で、ジェーンのフォビドゥンブルーはエドのソードカラミティの一刀を機体の脇に張り出した楯状のパーツで受け止めるのですが、この時対艦刀が形成するビーム刃を拡散し、斬撃を無効化するという特殊な防御を見せるのです。PHASE‐06の時のアビスとそっくりですね。
 では何故、こうしたことが可能かですが、コミック本編では残念ながらその答えは出ていません。設定資料の頁でも言及されていないので推測になるのですが、やはりゲシュマイディッヒパンツァーとなるでしょう。ビームを弾くか、水圧に対抗するかは素人考えでは大違いのような気もしますが、設定がそうなっている以上仕方ありません。そして、後者が前者の転用であるのなら、ビームを拡散させてもそうおかしくないような気もします。

・で、ことの真相がこれならアビスが肩装甲でビームを弾いたのも納得がいきます。そう、アビスもまた対水圧偏向装甲を装備しているのです。まあ、その方がむしろ自然ではあります。そもそも「種」と「種運」の間を繋ぐ「MSV」にあった機能が、時間軸的には未来となる「種運」で活用されないのがおかしい訳ですし。
 ゲシュマイディッヒパンツアーが至近距離でしかビーム攻撃を無効化出来ないのは、ミラージュコロイドの調整が対水圧に主眼を置いて調整されているからでしょう。ゲシュマイディッヒパンツァーではステルス性能が発揮出来ないように、対水圧偏向機能ではビームの長距離偏向は不可能な訳です。事実、アビスには誘導プラズマ砲「フレスベルグ」は搭載されていないのですし。

・と、まあ、色々推測してきた訳ですが、フォビドゥンブルーに関してはもう一つ解釈が残されています。それは単に、あの脇のパーツが対ビームシールドだった、というものです。それならば、対艦刀の一撃を拡散させたのも別段、不思議ではありません。
 けど、そうだとするとアビスの一件についての合理的な説明は取り敢えず棚上げですね。いやはや、なんとも。
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# by shunichiro0083 | 2004-11-29 22:39 | 設定
2004年 11月 29日

PHASE‐07 混迷の大地

・さて、地球へと落ちて行くユニウス7の前半分を粉砕すべく、大気突入時でありながら陽電子破城砲・タンホイザーを発射するミネルバ。するとタンホイザー2発で粉砕されてしまう元プラント(の半分)・・・2発でこんなにまでに木っ端微塵に出来るなら、メテオブレカーなんてものに頼らず、端からタンホイザーを撃っていれば良かったのに、と思われても仕方ありますまい。タリアともども、イザークの指揮能力にも「?」マークが付きます。可哀想に。

・そうしている内にインパルス・ミネルバ・ザクはそのまま大気圏突入へ。ミネルバは兎も角として、インパルスにもどうやら正式な大気圏突入モードが存在する様子。耐熱モードやら、姿勢制御とかいうものが手順として行われていることが証拠と言えるでしょう。
 しかし、まさかザクにまで大気圏突破能力があるとは夢にも思いませんでした。てっきり、インパルスが救い上げて自機の影に入れてやる、とかでお茶を濁すと想像していたのですが。ザフトの技術力は想像以上です。何せ、機体表面は焦げてはいるものの、基本的に色は剥げていないし腕も脚ももげてません。まさに、ザフト脅威のメカニズム、ですな。

・一方、なんと既にプラントへと帰還していたギルは地上の甚大な被害に思いを馳せつつも、薄く曖昧な笑みを唇に浮かべる(誰に語りかけているかはこの際置いておきましょう。なんでシルエットなんだか)。
 この後、ギルは地球に対して迅速な支援を行うのであるが、ユニウスセブン落下の真相は伏せたままである。これが高度な政治的判断と持ち上げるのは簡単なのであるが、個人的にはいずればれる問題なのだから、だったらさっさと公表して傷を小さくしておくべきではないかと思うのはナルサス(アルスラーン戦記)の影響であろうか。
 実際、安定した軌道にあったユニウスセブンがそこから外れた嘘の理由をちゃんと用意出来ていない(少なくともギルの演説の、放送で流れた部分ではそれに対して触れてはいない)のなら、全て正体不明のテロリストの所為にしてしまえば良かったと思うのだが。その上でこう、呼びかけるのである。
「この戦火収まりし世界に力を以って異を唱える不逞の輩に対して唯一有効な手段は、我らコーディネイターとナチュラルが今以上に手に手を取り合って協力し、強調する姿を見せ付けることなのです」
と。
 まあ、そうしないっていうことはやっぱりギルは腹に一物隠してるんだろうなあ。「救援」じゃなくて「援助」だし。穿った見方をするなら、今回の真相が暴露された時、真っ先に犠牲になるのは救助活動に従事してる、何も知らない一般兵だろうから。そしてそれはプラントにもナチュラル憎し、の感情を思い起こさせ、より燃え上がらせるだろう。そうして事態は最悪の方向へ・・・停戦合意の破棄・戦争再開にへと進んで行くのだ。

・勿論、ブルーコスモスもこの一件をそのままにしておく筈がなく。ファントムペインと呼ばれる特殊部隊が撮った写真を元に、再開戦に向けてのプロラガンダを始める様子です。画面上では音声証拠を摑んでいるようには見えませんでしたが、それは次回次第。けど、例のサトーらの台詞はガンダム3機が撤退してからだったと思うので、電波状態が悪かったあの空域でガーディ・ルーが傍受出来たとは思えないのですが、どうでしょう。

・この未曾有の災害に対して踏ん張ったアスランを慰めるカガリに、またも突っかかるシン・アスカ。確かにカガリも言葉の選び方は良くないかもしれませんが、だからと言って感情のままそれを咎めるシンもなあ。これじゃあ、カガリに嫉妬しているとしか思えません。カップリングはアスラン受でしょうか。
 そのアスランはサトーの言葉に心乱れてます。正しいと思ってやったことをああも真っ向から否定されては、十代の男の子はそりゃあ悩みます。父の意志に背いてまで行ったジェネシス爆破は、確かに多くの人命を救いました。なのに、それを命懸けで拒む者もいるという事実がアスランの心を屈託させ、カガリの真っ直ぐにすぎる言葉にも素直に頷けなくなってしまわせているのでしょう。
 こうして考えてみると、シンの言動と言うのも必ずしもアスランの心の苦しみを理解してのものとは思えなくなります。何せ、シンがサトーの言葉で思い起こすのは例の如く、家族が死亡した瞬間です。それはつまり、シンの心の中にはナチュラルへの憎しみが影を落としているということ。言い換えるならあの時、シンはサトーの言葉に自分においての真実を見出した、ということになる。シンにとって憎むべきは家族を殺した(と思われる)ナチュラルであり、見殺しにしたオーブであり、それは今も彼の心に黒く、大きな影を落としている。
 けれど、それはアスランの持つ真実とはかけ離れたものでしかない。アスランは悩み、葛藤の末、憎しみと怨みを乗り越えてコーディネイターとナチュラルの戦争を止めるという道を選び、それを今も実践しているのだから。その彼の心中をあたかも代弁しているかのようなシンの言葉は、実はその振りをして己の心の内を叫んでいるにすぎないのだろう。
 そしてそれはルナマリアも同じだ。彼女は別段、カガリに対してシンのような敵愾心を抱いてはいないが、アスランの気持ちを斟酌したりはしない。ヤキン・ドゥーエの戦いがどんなものであったかを知っていると言いながら、彼女は「敵」から自分や仲間を守る為には力は必要である、とアスランに言う。それに対し、アスランは険しい表情で応える‐「敵」って誰だよ、と。
 まあ、経験の差、と言ってしまえばそれまでなのですがね。自分の心に土足で踏み込まれているであろうアスランが彼らに対して優しいのは、過去の自分‐ナチュラルを憎んでいれば良かったあの頃の自分を重ね合わせているからなのでしょう。これがイザークだったら怒鳴りつけているんでしょうが。

・最後に、ようやく喋ったキラ。いやあ、今回のキラはひょっとしたら戦争の後遺症で失語症になっているのかと疑っていました。だって、あんまりにも喋らなかったんだもん(笑)。どうやら来週はオーブに帰還したアスランとも絡む様子。

・しかし、戦闘シーンが皆無なお陰でようやく少しお話が進んだ、という感じです。面白かったかどうかは別問題ですが。

 満足度=☆☆/2★★★(1個半)
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# by shunichiro0083 | 2004-11-29 12:14 | 感想
2004年 11月 26日

「種運」のテーマとは?

・監督が最初にぶち上げたテーマは「どうして戦争は起きるのか?」であるという。
 しかしながら、反論を承知で言うと今「種運」で描いている内容は普遍的な意味でのそれではない。今、描かれているのは陰謀論者が実在することを前提にしたものであろう。
 無論、僕は如何にして戦争が起こされるのか、そのプロセスを刻銘に知っている訳ではない。だが、ごく少数のテロリストによって大惨事が引き起こされ、それが引き金となって攻撃を受けた側の主戦論者によって戦争が起こされる‐というのはあの「9・11」から始まり、今も続いている戦争をより面白おかしく描いているだけではないのだろうか。
 確かに、これからどんな風にストーリーが展開するかは分からない。現実とは異なり、一方的に宣戦布告されるであろうプラントには十分な軍備がある。そして、挙国体制ではあっても独裁者が支配している訳でもない。一方的に地球連合=ブルーコスモスが勝利し、コーディネイターの虐殺を行うことは出来ない筈だ。
 この先の展開で一番現実的なのは地球連合がユニウス条約をとうに破棄しており、プラント目掛けてNジャマーキャンセラー付き長距離核ミサイルを撃ち込むことだろう。しかしながら、そうはなるまい。それではインパルスガンダムを始めとする、各種MSの出番がないからだ。これにはスポンサーである(そしてサンライズの親会社でもある)バンダイが首を縦に降るまい。
 しかしながら、本来の政治と言うのはそういうものだろう。条約の為にザクが開発されたという設定にはなっているが、その条約の履行を定期的に検査し、査察する公的機関が組織されているとは聞いたこともない。普通に考えたなら、ユニウス条約など絵に描いた餅以外の何物でもないのだ。少なくとも、僕がデュランダルの立場ならいつでもNジャマーキャンセラーを積めるようにした状態の核ミサイルを地球に向けて配備するだろう。
 まあ、「種運」放送開始前にラジオ番組に出席した監督の弁では「種」を否定する、若しくはアンチテーゼとなる裏テーマが掲げられているらしいので、番組後半に突入すればインタビューなどで語られることもあるのかもしれない。
 監督によれば「種」のテーマは「非戦」だったらしいのであるが、困ったことにこの「非戦」という言葉は国語辞典には載っていないのである。まあ、「非戦論」といえば戦争に反対する意見・主張ということになるので、この場合は「戦争に反対する」くらいの意味で捉えてみる。その上で「種運」のテーマを考えるなら、戦争に反対しない、ということになるのだろう。それは物事の決着を付けるのに、実力を行使することを躊躇わない、ということに他ならない。
 そうなると、今度は「種運」の主人公であるシン・アスカが職業軍人であることが重みを持つ。そう、事態に実力を以って対抗する国家の暴力‐軍隊に所属するシンが主人公であるということは即ち、「種運」の真のテーマが「戦争の肯定」であることを示唆しているのではないだろうか。
 個人的には「種」のテーマが「戦争反対」であったとは欠片も思わないが、だからといってそれを否定する物語もどうかとは思う。確かにそれは究極の現状肯定であるが、そこには何の希望も未来もない。人とはより良い明日を目指してここまで来て、そしてこれからも目指そうとしていると信じたい。にも拘らず、子どもに見せるとスタッフが広言して憚らない「種運」の真のテーマがこれだとするなら、呆れるまでの現行不一致であろう。

・しかしまあ、未だ見えて来ないものに対してこれ以上憤っても仕方がない。しかしながら、未確認情報ではオーブは正義がないと知りつつもナチュラル側に付き、主人公達とは心ならずも敵対する道を採るという。
 頼むから今後、連合軍がプラントに侵攻、占領し、その駐留軍として正義も大義もないと知りつつもオーブ軍が派遣され、コーディネイターのレジスタンスに会う、などという現実社会の焼き直しでしかない、独創性の欠片もなく、かつ、展開だけは勘弁して欲しいものである。
 いや、本気で。
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# by shunichiro0083 | 2004-11-26 23:40 | 設定
2004年 11月 25日

ドラグーンについて

・このドラグーンというのは勿論、プロヴィデンスやドレッドノートに搭載されている無線誘導兵器のこと。Nジャマーの副作用によって電波が阻害される「種」の世界においては、とりあえず唯一無線で精密誘導されるものである。
 まあ、有り体に言ってしまえば「ビット」やら「ファンネル」の類な訳だが、「種」の世界ではニュータイプはいないということになっているので、結果としてもっとヘンチクリンな設定を導入せざるを得なくなってしまうのであった。

・では何故、深刻かつ強力な電波妨害が通常となった戦場でそのような遠隔精密誘導が可能になったのか?
 これを説明する前に少しこの「種」世界の一般的な技術についておさらいしておく必要があるだろう。この世界におけるコンピューターが量子式であることをご存知の方も多いと思う。量子式というのは簡単に言えば、これまでは電子という「粒」で構築されていたコンピューターが、そうではなく量子と言う「波」を用いたものに変わっていると思えば良い(らしい)。
 まあ、「種」の世界ではこれに使われているのが生体型という、些か気味の悪い外観をしているかもしれないものであるのだが、これはあんまり関係ない。が、「アストレイ」でジョージ・グレンの脳が十数年間保存され、完璧な状態を保持していたことの裏付けにはなるのかもしれない。
 この量子コンピューターを作るのに必須の学問が量子力学であり、これが情報理論と結びつくと一応、公式にはこれでドラグーンが操縦されていると言う量子通信となる。この量子通信は高速かつ一度に大量の情報を精確で安全に送れるというもので、現実に開発が続けられている。
 ただし、だからと言って電波阻害に左右されないというのもおかしい。あくまで量子通信の媒体は既存の通信手段に拠る。別に量子通信が「波」としての性質を用いるから、「粒」である電磁波を阻害するNジャマーからの干渉を受けない、というのは間尺が合わないのである。
 尤も、特殊設定の森田くんの中では量子というものが原子や分子のように、巨視的な一般名詞ではなく、電子や陽子といった固有名詞であると捉えられているらしい。ザフトでは量子に関する研究が進んでいて、量子センサーなるものも試験的に運用されているとかのたまわっていた(ちなみに、現実世界での量子センサーというのは量子の挙動を計測する機器のこと。決して、量子を用いて離れた所にある物体を探知するレーダーもどきではない。念の為)。

・別に僕がここでやりたいのは「特殊設定」という考証役の不備を論うのではなく、何てこんな粗の目立つ穴だらけの設定を盲目的に受け入れねばならないのか、ということである‐この場合の「穴」とは純然たる物理法則に対してではなく、作品世界の約束事を指す。
 別にNジャマーが嘘っぱちなのに、目くじらを立ててはいない。そんなことを言ったら、なんでMSが使用されるのか、という部分に行き着いてしまう。だから、作品世界を成立させる為の約束事にとやかく難癖を付けるつもりはない。だが、安易なご都合主義で何の伏線もなくこうした(作品世界における)超兵器を出すのは如何なものだろうか。
 まして、そこだけ取って付けたようにきちんとした考証のない「量子通信」という現実に存在する単語を持って来て済ますという、その態度は問題であろう。「種」の世界にはニュータイプはいない、ということになっているのなら尚更である。
 邪推をするなら、このNジャマー散布下における無線誘導の為のギミックが上手く思い付かなかったから、こうした既存の単語を持って来てお茶を濁したのではないかということになる。何故なら、この人の「種」に対する関わり方から推測するに、考え付いていれば公表していない訳がないからである。

・しかしまあ、個人攻撃をするつもりもないのでこれについてはこれくらい。
 最後に、個人的に考えたドラグーンシステムの根幹‐遠隔操作について書いて見たい。尤も、このアイデアは僕個人のものではない。以前、ネットで「ミラージュコロイド」について検索をかけていた時、たまたま目に入った記述
>(ミラージュコロイドの技術は)ドラグーンシステムの遠隔操作にも応用されている
要約するとこういう趣旨の文章から考えたものであることを明記しておく。
 つまるところ、僕の考えたドラグーンシステムの遠隔操作の肝もまた、ミラージュコロイドである(以下、ミラコロと略す)。ミラコロの実体はナノレベルのプリズムであり、当然光を反射する。プロヴィデンス本体から発振された通信用レーザーはミラコロによって形成された最適の“路”を通り、端末としてのドラグーンに指令を伝達するのだ。
 Nジャマーで満ちた戦場を高速で機動するドラグーンには、本来ならば本体からの命令を伝える術はない。しかしながら、常人には捉え切れぬ11のドラグーンのその全ての状態を立体的把握し、数瞬先の位置さえも精確に捕捉する空間把握能力者ならば、レーザー通信の軌跡を導いて己の意志を伝えることが出来るのである。
 もし、仮にその位置が敵機の向こう側であったとしても、光を屈折させるミラコロの機能がある限り、レーザーは屈曲して遮蔽物を避けて進むのだ。補足するなら、このレーザー通信は一度に大容量のデータを送ることが出来る量子通信である。また、ドラグーンに使用されるミラコロは一度に最大11の目標への“路”を作らねばならないという要求を満たした特殊な仕様となったことから、ステルス性能もビーム屈曲能力もなくなってしまった・・・と、まあこんな感じだろうか。

・最後の最後に、「種」世界の量子通信が実は「パイロット波」や「非局所性」を用いた画期的な超光速なものである、という設定が「種運」で公開される可能性もあることを書き記しておきます。
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# by shunichiro0083 | 2004-11-25 23:18 | 設定
2004年 11月 20日

PHASE ‐06 世界の終わる時

・いやあ、前から思っていたのだけれど、「種運」のアバンタイトル長いなあ。ビデオのカウンター見たら三分も回ってましたよ。そんなに長くしなくても、ナレーションを使って短くまとめればいいのにねえ。その分、本編作り込めっていう感じ。っていうか、本末転倒?(アンゴル・モア嬢風)

・で、今日は落下しようとするユニウスセブンを破壊しようとするザフトと、それを阻止しようとするテロリスト・サトーの攻防。そしてここに訳も分からず首を突っ込むガンダムズ、という三つ巴の戦い。
 で、のっけからやってくれます、スタッフ。アビスの肩装甲、PS装甲の筈にも拘らずビーム攻撃ちゃっかり弾いてます。はい、これにてC.E.73年における最強のモビルスーツけってーい・・・って、莫迦か。第1話でしっかり、ディアクティブモードから色が付く描写をやっとるだろうに。これじゃあ「種」から言い続けた「PS装甲はビームには効力を発揮しない」っていう約束事がぱあ、ですよ。全く‐まあ、ローエングリンを防いだムウ機でちゃらになってると言えばそれまでなんですが。
 これまでだって、ビームが機体をかすめれば装甲表面が焼ける、っていう描写をして来ていたのに。まあ、なかったことにするんでしょうけどね、あのスタッフは。あと、アビスとカオスが小破していたけれど、その修理はどうするんだろう。「種」のG強奪の時には予備パーツと消耗部材はその他大勢の皆さんがちゃんと持ってきてくれていたけれど、今回はそんな描写は一切なし。これで次回、あっさり元通りになっていたら、呆れるを通り越して爆笑しちゃうんですけどね‐けど、やるだろうなあ。
 
・サトーさん絡みですが、そう言えばこの人最後まで名前が出て来なかったような気が・・・。それに、イザーク隊ではアンノウンだったジンハイマニューバー2型が、ミネルバでは即座に照会出来ているのも気にかかります。ザフトって、一体どういう情報管理体制になっているんだ?
 そう言えば雑誌媒体では「ザラ派残党」という書き方をよくされていたサトー一派ですが、本編の描写だけで判断するならザラ派というよりも、タカ派という一般的な括りでも別に構わないのではないかと。「種」の時代、ザフトのタカ派と言えばパトリック・ザラでしたからね。「残党」とまで言うのなら、もうちょっと描写の欲しい所ではないかと。
 しかしまあ、前回の感想でも書きましたが単なるテロリストにしてはこのサトー一派は装備が豪華すぎでしたね。これ程の武装集団が当局の監視を逃れて地下に潜伏していたことにこそ、デュランダルの意見が欲しかったです。

・で、そのデュランダルですが、例の強奪部隊について言ってることはまあ、まともです。って言うか、まだ何の情報も手に入れていない現状では連合軍の仕業と断定出来る筈がないんですよね。少なくとも、まともな政治家ならば。
 加えて、あのタイミングでサトーらがユニウスセブンに対して工作を始めている以上、こっちとの関連こそ疑われて然るべきなのではないかな、と。時間的にも、位置的にも、ね。そうなるとそれに関しては推理しない(或いは、気が付いていても口には出さない)デュランダルの思惑は果たして何処にあるのか、という気もします。ミスディレクション、という可能性も捨て切れないのではないですかね。

・で、まあ、そんな議長の思惑とは別の所で見事な舌戦とコンビネーションを見せる旧クルーゼ隊の三人は強い。それこそ主人公が霞んで見える程です(実際、呆然としてしまうし)。ここいら辺は「キラやアスランとは違う」方向へと進む(筈の)新主人公・シンの個性と関係してくるのでしょう。
 ただ、実戦経験がないことがシンの当初のキャラ立ての一要素だとしても、それに起因する戦闘に対する実感の描写がないのなら、それはやはり片手落ちなのかな、という気もします。少なくとも今のシンは殆どのザフト側のパイロットの中では弱い部類に入ってしまうのだから、その自分の弱さにどう反応するのか‐悩むのか、落ち込むのか、自信を喪失して任務を放棄するのか。それとも、誰かに八つ当たりするのか‐そういう内面を描かないのなら、あまり意味のないものではないかと思います。少なくとも、インパルスガンダムが目立たないと言う現実と引き換えにする程のものではないと思いますがね。

・そのシンがアスランに対しては何やら、屈折した憧れに近い想いを抱いている様子。
 ものの記事によるとあの前戦争を兎にも角にも「停戦」状態にまで持って行った立役者として、三艦連合の面々は半ば伝説となっているのだと言う(だからこそ、一度は寝返ったディアッカも降格はしてもザフトに居残っていられるのだろう。新たな功績によって古い罪状を赦されたという訳だ)。だからこそ、二年前は避難民でしかなかった筈のシンもアスランの存在と活躍を知っており、憧れていたと言うことになるのである。
 しかし、だとすると、シンのフリーダムに対する感情はもっと複雑だろう。フリーダムとは彼の家族を奪った災厄であると同時に、あの忌まわしき戦争を終結させた力の最も大きな欠片の一つであるから‐アスランのことを知っているのなら、フリーダムとそのパイロットのことも知っていて然るべきであろう。
 サトーの言葉によって思い出したくない過去を喚起させられたアスランとシンだったけれど、アスランはそれを既に乗り越え、シンはまだそれに囚われている。言い換えればアスランの眼差しは明日を向いているけれど、シンは未だ俯いて昨日へと虚ろな瞳を漂わせている。出来ることなら「種運」という物語が、シンが傷付きながらも進むべき道を見つけ出す‐そういうものであって欲しい。

・今回、マルキオ導師の所に身を寄せているキラとラクスが登場したが、キラは差し当たっては何もせず(喋りもしない)。ただ、ユニウスセブンが降る夕闇の空を呆然と見上げているだけ。てっきり、隠しておいたフリーダムで出撃し、オーロックシステムの斉射でユニウスセブンの無数の欠片を撃ち落したりするのかと思ったけど、流石にそれはなかった。ちと残念。

・しかし、ユニウスセブンが落ちて地上は大惨事になるようだけれど、これから地球はどうなるのかねえ。前回でロゴスとやらの一人が言っていたけれど、あんなんでもう一度戦争をするだけの国力が果たして残るのだろうか? まあ、ブルーコスモスの連中はシェルターに隠れられるから全員無事なんだろうけれど。予告を見る限り、彼らの手足になって働く兵隊さん達の生存は、か・な・り・怪しいと思わざるを得ない。何せ、一般市民に逃げ場はないのだから。
 実際の話、ここまで話の規模がでかくなってしまうと、単なる陰謀論では風呂敷は畳めない。畳んでもいいけど、説得力はない。まあ、「種」もそういう意味ではかなり強引な展開だった。あれをクルーゼの怨念とアズラエルの復讐にパトリック・ザラの妄執と、個人に帰して片付けたのは今でも大問題だと思っているし。
 今の所、デュランダルが前作から通じての真の黒幕である、という説がネットでは有力ですがそれはあまりにも歴史というものを舐めすぎているとしか思えません。事実、今回のユニウスセブンの落下工作にしても、既に不確定要素としてミネルバとファントムペインが関わっている訳ですし。これらの参戦を正確に読んでいたというのなら、それはもうナチュラルとかコーディネイターとかではない。何か別の存在でしょう。
 なんで、僕個人としてはデュランダル黒幕説は保留するとしても、彼に全ての責任を負わすというのは頷けませんね。

・で、次回からは地上編。ミネルバはまたも融除剤ジェルを噴出し続けるのであろうか?

 満足度=☆☆/2★★★(1個半)
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# by shunichiro0083 | 2004-11-20 20:23 | 感想
2004年 11月 17日

PHASE‐05 癒えぬ傷痕

・アバンタイトルについて「ユニウスセブンを太陽風で動かした」というのがネットでは信じられているようですが、ちょっと違うのではないかと。
 これに関して僕はアニメ誌の各話紹介を読んでいないので何とも言えないのですが、あれは設置されているのが「フレアモーター」と呼称されていることを考えると、太陽風をエネルギー源として作動する一種のソーラーセイルなのではないかと。
 まあ「あの巨大な電卓はなんじゃあ?!」と心の中でツッコミを入れてしまったのも、紛れもない事実ですが(汗)。しかし相変わらず、見せ方というか演出が「種」は下手くそです。作動の瞬間、すぐ引くのではなく、取り付けられた装置がどんな風に働くのかを見せてから、ロングにすればもっと分かり易い「絵」になるのに。あれじゃあ、見ている方も中途半端な知識があるから、余計に混乱してしまいます。
 それにしても、フレアモーターとやら数多過ぎ。オリジナル仕様のジンマニューバー2型もそうだけど、あんなん、一介のテロ集団では揃えられません。まあ、だからこそ黒幕の存在を予感させるのかもしれませんが・・・。

・で、本編が始まると、今回最大の問題カット(微苦笑)。あれで男女の割りない仲ではないと言われても、誰も信用しませんがな。しかしまあ、前回の「種」で視聴者から抗議が殺到したのはどうでもよかったんでしょうか。それとも、少年少女だったから問題になったのだと、製作者側は高を括ってんでしょうかね。子どもには性の決定権はないから問題になっただけだ、と。これの何処が子供向けなんだろう? 言ってることとやってることがてんでちぐはぐだと思います。
 また、別の所でも指摘されていましたが、デュランダルとタリア艦長の関係が公然の秘密だとすると、第1話で彼女がアーモリーワンの司令部から軽んじられていた理由も推測出来ます。能力ではなく、色香で新鋭艦艦長の座をせしめたと思われているのかもしれません。しかしそうなると、今後のミネルバのザフト内の立場も微妙なものになりかねませんなあ。

・まあ、その後のカガリの激昂とシンの反発はどっちもどっちだと思います。立場の違いですから。そういう意味では、(ナチュラルに対する暴言も含めて)決して悪いシーンではない。ただ、シンは家族を殺されてしまった悲しみから、そこから先に進めていないことも示してしまった。
 これは繰り返しになるけれど、何故、シンはMSパイロットを目指したのかが分からない。あの後、レイとの会話の場面を入れるなら、余計にそこでシンの考えとか生き方を示すべきではなかろうか。そうでなければ、「種」での経緯を知っている視聴者はシンに感情移入し辛いだろうから。
 確かにカガリもすぐ感情的になっちゃうのは悪い癖だけれど、だからと言ってオーブが侵攻されるのを当時の国家首脳部の所為にするのも間違っている。連合“首長国”だからね、オーブは。この用語が厳密な意味で現代の地球と同じという保証はないけれど、これが現代のアラブ首長国連合と同じニュアンスで使われているのなら国民に選挙権がなくても何ら不思議じゃない。つまり、政治を行う人間は必ずしも国民に対して説明責任なんかを負っている訳ではない、ということもあり得る。議会もないような描写だったし。
 そもそも、コーディネイターであるシンが戦争勃発後の地球で曲がりなりにもあの日まで平和に暮らせていたのは、そこがオーブだったからな筈。これは奇麗事かもしれないけれど、国民には政府首脳が何をしているのかを考え、判断することが必要なのではないだろうか‐その結果、オーブがやばいとなればプラントに早めに逃げ出す、という選択肢も存在した筈。そうしたことを棚に上げて『考えが足りない』とカガリをなじるシンには、悪いけどまだ良いイメージが持てないなあ。

・で、アスランは議長特権でザクのコクピットに。まあ、この辺りの曖昧さはシリーズの伝統なのか。それとも伏線なのか。アスランではなく、アレックスという人物に対する扱い次第でどう転ぶかが決まるのではなかろうか。あくまで議長がアスランだと主張するならそのままザフトに取り込まれても不思議はないし、逆にアレックスとして遇するなら大した問題ではない‐何故なら、亡命した以上アレックスという人物はオーブの正式な国民だからである。アレックスがデュランダルの言うことを聞く謂れはないのである。

・加えて、今回のブルーコスモスの首魁たるロード・ジブリール初登場。“ロゴス”と総称される組織幹部らに対し、コーディネイターとの徹底抗戦を構える演説をぶって大勢を決定しながら、何やら苛立っている御様子。少なくとも、現状に対して満足しているのではないらしい。果たして彼が望むのは「青き清浄なる世界」なのか。それとも・・・。
 そう言えば、例の特殊部隊のことをジブリールは「ファントムペイン」と呼んでいたように聞こえた。と、言うことはやはり連合軍内のブルーコスモスのシンパによって極秘裏に‐恐らくは軍首脳部にすら‐結成された部隊なのだろう。装備はブルーコスモスの母体には「国防産業連合」が絡んでいるのはまず間違いないだろうから、ここから最新鋭のものが流れて来ているに違いない。

・今回はディアッカとイザーク。来週はキラにラクスと、そろそろ旧作のメンバーが出始めてきましたな。もう暫くするとミネルバも地上に降りてオーブに行くらしいし、そうなるとアークエンジェル組との再会も近い?

 満足度=☆☆★★★(2個):ただし、冒頭のタリアの後姿で星半個分追加(笑)
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# by shunichiro0083 | 2004-11-17 02:01 | 感想