2008年 02月 09日

#18 悪意の矛先

・さて、先週の問題発言“トロポジカルディフェクト”に関してです。ご存知の方も多いかもしれませんがアニメの台詞と言うものは実は一言一句脚本通りに喋る、というものではありません。
 実際には絵コンテの段階で決定される各カットの秒数に合わせて、その段階で削ったり付け加えたりという作業がなされます-これの一番分かり易い例が富野監督の名台詞ですね。で、この絵コンテで決定された台詞を使って最終的に声優さん達に配られるのがAR台本です。
 ですので、脚本の段階では正確に「トポロジカルディフェクト」と書かれていたものが、この絵コンテからAR台本に移行する段階で誤って書き写された、という可能性は否定出来ません。
 まあ、ぶっちゃけて言えばこの「トポロジカル」を専門に研究されている大学の先生でさえ、ご自身のサイトで書き間違えているという事実もあるくらいですから。無論、だからと言ってこれが免罪符になるということではありませんが、今回のこの台詞がDVDで修正されていたとしてもそれはそれで仕方のないことだと自分は思います。

・あと、前回分を見直していて気がついたのですが、お亡くなりになったエイフマン教授がGNドライブの建造に200年以上の時間を費やした理由も…みたいなことを言いつつ、実際には120年前の有人木星探査が関わっていたということになってしまう矛盾。
 GNドライブの製造に木星と言う環境と200年という時間が必要不可欠なら、CBの活動開始はあと80年はずれ込まないといけない筈なんですが。
 けど、実際には更に15年前にはGNドライブは完成され、実用化されていたという事実もあり-やっぱり物証に乏しい閃きだけでは、如何に優れた頭脳でも真実に辿り着くことは困難ということなのでしょうかね。それとも、200年云々というのは単なる比喩表現に過ぎないのでしょうか。
 しかし、あの木星探査船ってユニオンが独自に行ったものなんですかね。だとするなら、CBのメンバーはかなりの重要ポストにまで食い込んでいるのではないでしょうか。そうでなければ、そのような一大国家プロジェクトに私的組織の計画を水面下で行わせるなんてことが出来るとは思えませんから。
 意外と、カタギリはCBの細胞なのかもしれませんね-そう考えれば、スローネズがエイフマン教授の研究の進捗具合を把握して暗殺出来たのも納得が行きます。また、あの問題のスメラギ嬢との接触や軍事機密漏洩もハニートラップではなく、焼け棒杭に火がついた振りしてトレミー組の戦術予報士である彼女に情報を流していたのかも。



・しかし、ガンダムシリーズで大概の強化人間はキ○○イと相場は決まっていますが、今回の三兄妹もこの路線から外れることは適わなかったようです-ソーマは数少ない例外ですね。
 しかも、どうやら妹は殺人淫楽症という最悪のパターンです。これに比べれば次男の戦闘狂などは可愛いものでしょう。この分では常識人のふりをしている長男も、かなり深刻な心の闇を抱いていそうです。何せ、罪もない人々を憂さ晴らしに殺した末妹を本気で叱責することもなかったのですから。
 しかし、まあ、この辺りはCBの理念を忠実に実行する為に与えられた精神操作の副作用ということなのかもしれません。何せ、彼らは何の両親の呵責もなく民間人も巻き添えにしますからねえ。真っ当な常人では考えられないことです。余程強固な条件付けが行われている、と考えるべきなのかもしれません。
 しかしながら、同じような境遇にあった刹那はそうしたこの世の地獄から救い出されているのですから-それも同じCBの手で!-、運命と言うのは皮肉なものです。

・そう言えば、冒頭のイタリアでの後味の悪い戦闘シーンでは「V」に登場した陸戦用フラッグが登場してたようですが、スローネズの前には何ら歯が立ちませんでした。

・今回、イアンのおっさんからスローネの分析結果がもたらされた訳ですが、あの短時間で内蔵されているGNドライブの内部構造を解析するとは恐ろしいまでの御都合主義-ではなく、凄まじいまでの手腕ですね。
 それによれば基本構造はトレミー組のガンダムと同じものの、TDブランケットなる重要なパーツを欠いている為にスローネのGNドライブは有限であろう、とされています。敢えて名付けるなら疑似太陽炉。疑似って設定は生きてたんだなあ。ちょっと意外。
 ちなみにブランケットというのは本来「毛布」の意味ですが、核融合炉では炉心を取り囲む部分を言い、ここで発生した中性子を取り込んだり、この結果発生する熱エネルギーを電力として取り出すという役割を果たすものだそうです。
 ここからは推測ですが、TDブランケットがないとGNドライブのエネルギーが外部に漏れ出し、その結果活動時間が制限されてしまうのではないかと。まあ、GNドライブが無限と言っても人間の感覚で無限に近いだけで、実際には数千年も経てば燃料切れを起こすのではないかと思いますが。
 しかし逆に言うなら、それ以外の技術は再現出来ている訳ですから、この一点だけを持って三兄妹がCB本来のメンバーでない、とするには根拠が薄弱なのではないかとも思います。

・今回、組織内部に裏切り者がいるとか、ヴェーダにティエリアがアクセス拒否されると言った事象が描かれた訳ですが、やはりだからと言ってこれらを物証として三兄妹が偽の構成員でヴェーダを乗っ取ったというのは尚早かな、と愚考します。
 個人的な考えとしては末妹が“ラグナ”なる謎の名前が鍵であり、実はラグナとはヴェーダと同じ量子型演算処理システムではないか。そしてそれはヴェーダよりも組織内の高い地位と決定権を持つものであり、三兄妹はそれ故に専横的に振舞えているのではないか、と推測しています。
 この場合、スローネに搭載されたGNドライブに活動限界があってもそれは問題ありません。肝腎なのはGNドライブと同等の性能を持つ、ということです。これと適切な補給が担保されるのなら、活動限界の存在は彼らの任務達成の妨げにはならない、ということは本編が証明しています。
 大体、Oガンダムの接収もそれがなければGNドライブの補給に困るからというのであれば、そもそも彼らがどうやってタクラマカンで作戦行動に出られたかが説明出来ません。あの時点で三兄妹はスローネの疑似GNドライブを動かし作戦行動を行っている以上、補給の問題はクリアされているとしないと間尺に合わないのです。
 以上のことから、まだまだ三兄妹の立ち位置は不明であり、断言出来るだけの物証は揃っていないのではないかと思います。
 ちなみに、三兄妹に指示を出していると思しき“ラグナ(Ragna)”とは古エッダ語で「偉大なる神々」を意味する言葉ですね。単純に単語の持つ意味だけを取り出して比べるなら「知識」に過ぎない“ヴェーダ”とは重みも、格も違います。これが暗喩だとするなら、ヴェーダはラグナに従属しているのではないですかね。

・しかし、敵か見方かもわからない三兄妹を自軍の母艦に招き入れるトレミー組は0点だ、という分析を読んだ時には成程、と思ったものでした。が、今回、こうやってスローネの構造をイアンに解析されてしまったのを見せ付けられると、トレミー組に負けず劣らず三兄妹も馬鹿だったんだなあ、と感じ入りました。
 勿論、三兄妹があの時点ではトレミー組と敵対するつもりがなく。また、スローネを分析されても味方なのだから構わない、と考えていたのなら話は別ですが。

・王留美もアレハンドロと接触したり、三兄妹の生体データを調べたりと色々やってはいるようです(なんのデータと三人の生体データが一致しなかったかは分かりませんが)。
 ただ、彼女は流石にトレミー組の活動内容ややり口に物足りなさを覚えていただけに、三兄妹を一概に否定せず。それどころか寧ろ、その活動を肯定しているかにも見えます-この辺りはアレハンドロも同様ですね。
 大体、トレミー組にせよ三兄妹をあそこまで疑う客観的理由はない訳で、そいう観点からすると王留美やアレハンドロが通じる、と言った展開になってもなんら不思議はないと思います。

・メイスンの墓碑銘には 2281-2308 とあるので、いつの間にやら西暦は2307年は終了していて、2308年に突入していたようです-って、それなら新年のイベントを例のコントでやればいいのに。こういう時にこそ使うべきでしょ、あの二人は。
 グラハムの過去もあんまり効果的ではない感じ。加えて、このエピソードに絡まって来るであろう二人が既に殉職しちゃってますから。このままスルーされる予感がします。

・絹江が噂のユニオン兵士と密談してますが、この後この兵士は謀殺されてしまいます。この時、絹江が殺されなかったのは兵士の死を単なるゆきずりの事件、ということで始末したかったからでしょう。一緒に殺すことで薮蛇にならぬよう、相手も気を使ったという訳ですね。 
 と、偉そうに言ってますがこれについては完全な受け売りです。まあ、確かに言われればその通りな訳で。自分、まだまだ考えが至りませんです。
 この一件でこれまで、謎の暗殺者からはノーマークであったあろう絹江もこれで殺すリストに仲間入りしたであろうことは想像に難くありません。個人的には絹江は教授同様核心に近づいた時に暗殺されるものの、自宅に秘匿されていたデータを元に沙慈が父と姉の遺志を継いでCBの野望を暴く、ってな感じになるのじゃないかと思ってます。

・で、三兄妹はアイリス社の軍需工場を破壊する訳ですが、この戦術は民間人を巻き込んだから非難されますが、兵法の理には適っています。第2次大戦末期、日本本土空襲も本来は軍需工場に的を絞ったものでした(国際法上の問題とかはさて置いて、ですが)。
 確かに兵器を生産出来なくなれば戦争の継続は困難になるので、そういう意味での狙い所は正しいと言えるでしょう。工員もろとも、というのは人道的な問題はあるかもしれませんが、これによって施設は復興したとしても、熟練工がいない工場では納期や精度が大幅に後退する可能性が高いです。
 人数において劣るCBが採るやり方としては非常に効率的ですね。しかし、結果的には部下のメイスンや先達たるエイフマン教授を失って憤るグラハムの怒りに油を注ぐことになってしまいました。
 そしてグラハムは長男相手に善戦し、遂には敵機のGNビーヌサーベルを手に入れて一矢を報います。この時、グラハムはスローネアインからGNビームサーベルを奪取してますから、カタギリが解析に成功すればビーム兵器は一気にユニオンの主力兵器に躍り出ても不思議ではないかもしれません。
 いや、大統領が英断してAEUと人革連にデータを譲渡でもすれば、一気に対ガンダムの包囲網は狭まるでしょう-尤も、ガンダムはビーム兵器も防御出来ちゃうんですけどね。

・ルイスについては体よく、視聴者のトレミー組への同情と三兄妹の憎悪をつのらせる為の道具にされてしまったなあ、という感じ-竹田プロデューサーは駄目じゃないかなあ、やっぱり。
 指輪の話は今回の伏線だったのかもしれないけれど、民間人がテロリストの為に戦争に巻き込まれて被害を被る、というのは既に一回やってしまっている訳で-まあ、その時は大事には至りませんでしたが、ルイス。またやったのか、という二番煎じに思われてしまうのは否めません(まあ、だからこそ左手を失わせたんでしょうけれど)。
 大体、各国間の渡航は規制されていて、民間人がこれをクリアするにはそれこそ代議士クラスの働きかけがなければならないことは#09でのルイスの母親の台詞で明らかになっています。
 にも拘らず、何の後ろ盾もない貧乏学生の沙慈は空港からスペイン行きの飛行機に飛び乗れてしまう訳で。重箱の隅と言われればそれまでですが、こういう部分を疎かにしてしまうのはどうかと思ってしまいます-ルイスは今回、結婚式への出席ですから当然、実家からチケットが送られて来てるでしょうから問題はないかと。絹江はちょっと微妙ですが、そこは大情報企業の記者なので許可は下りてもおかしくはないですし。
 こういう部分で整合性がなくなってしまうと、脚本を一人でやってるメリットがなくなってしまうんじゃないですかねえ。
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by shunichiro0083 | 2008-02-09 03:34 | 感想「00」


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