2006年 07月 17日

続・「種」の設定全般のこと

・千葉氏のブログが更新されたようですので、こちらも続きをば。
 その前に論点を整理しておくと、全ての「設定」が集まって「世界観」を形作るのではなく、基本となる設定=「世界観」があってそこから必要に応じて生まれるものなのではないか、というのが当方の考えです。

ASTRAYなブログ SEEDの設定に思うこと(その2)

・あと、設定の方法論として
>科学説明を無視してウソをつくか、科学説明に忠実だが、説明は隠すか
という二択が挙げられているが、個人的には後者の理由はあんまり納得出来ない。「設定」とは言い換えれば「背景」であるから、それをいちいち本編の中で説明することはない。最低限のフレーズだけでもいい。
 けど、小説は違う。地の文という実に説明し易いパートがあるのだから、そこで読者に対する説明をするのは別段問題はない筈である。
 レーザーとか、ワープという既存の単語を使うのならそんなことを逐一行わなくてもいいのだろうが、「コーディネイター」「Nジャマー」「PS装甲」なんていう創作した単語を用いるのなら、きちんとその単語がどういうものなのかを語らねばならないのではないだろうか。
 こういう所は「種」本編からのスピンオフ-「アストレイ」「MSV」なんかでもあんまり巧くなくて、既存の単語に違った意味を持たせているのにわざとそれを説明しなかったりしていることもあった。
 ですから、「種」の設定を公開する方々は、
>これ以外でも、現実の科学をそのまま取り入れると、まったく視聴者に理解出来ない設定になる可能性がある
などと言わず、きちんとした設定の情報公開をお願いしたいと切に願う次第であります。



・冒頭で取り上げられているMSの問題もそうなのだが、ミノフスキー粒子も、Nジャマーも、AMBACも、全ては「世界観」と直結する問題である。
 「世界観」の要素の一つであるMSという人型兵器が成立する背景として、上記の要素というのは起こされた設定であり、その意味において数ある「設定」の中でも「世界観」に匹敵するものだろう。
 だからこそ、そうした設定は大切にされねばならない。「種」に限って言えば、核エンジンを使用させるにはNJキャンセラーが必要だし、ドラグーンが使えるのには空間認識能力と量子通信がなければならないのだ。
 まあ、後者にはもう少し伏線が欲しかったと思うのであるが。ガンダム世界のお約束というか、暗黙の了解に頼りすぎてはいけないとも思うのだ。

・だから、はっきりいうと「世界観」に対して文句やいちゃもんをつけるのはナンセンスであり、それが熱心なファンから「空想科学読本」が拒否反応を示される理由ではないだろうか。
 「世界観」とは言うなれば定理であり、その作品世界の中では基本的に覆ることのない法則のようなものである。そこに疑問を抱いたら、その作品を心から楽しむことは出来なくなってしまうだろう。
 だから、既存の作品とは違う「世界観」を創造しようとするなら、細部までしっかりと詰める作業が必要不可欠となるのである。それをせずに見切り発車をしてしまうと「とんち番長」になってしまうのだ。

・次に書かれる「挑戦」については、一読しただけでは何のことなのかさっぱり判らなかった。おそらく、この記事を書くのに頭の中を整理していなかったらずっと判らないままだったろう。
 尤も、これだって自分が判った気になっているだけなのかもしれない。なので、こういう読み解き方もある、くらいに思って欲しい。
 この、
>明らかに読者の理解を超えた設定
が何を具体的に指しているのかは結局不明だが、推測するにその中の一つはドラグーンを制御する量子通信のことではないだろうか。
 この量子通信というのは量子論を通信分野に応用したもので、現実世界でも急速に研究が進められている分野である。
 が、だからと言ってこれがあれば電磁波を阻害するNジャマーの影響下で無線誘導が可能になるか、というとそうではない。量子通信は確かに一度に大量の情報を正確に送ることは出来るが、それは従来の情報伝達手段に依存する筈だからである。
 だから、これを額面通りに受け取ると全く訳がわからなくなってしまう。この辺りが『読者の理解を超えた』という部分なんではなかろうか。
 なお、これに対する僕なりの答えはこのブログの何処かにありますので、気になる方は脇の<検索>から探してみて下さい。

・で、そこからの派生した話題として、幾つかの「設定」が
>「世界観が持つリアリティの要求」から産まれた
と書かれている。この場合の「設定」とは例えば「NJキャンセラー」であり、また「ミラージュコロイド・デテクター」ということになる。
 知らなかったが、Mデテクターは「種運」の基本設定の中にあったらしい。が、本編では一度も使われず、死蔵してしまった。確かに、本編でミラージュコロイドを使ったのは冒頭のガーティ・ルーくらいのもので、そのあとはミラージュコロイドを装備したMSも艦艇も一切出て来ていないから、当然といえば当然であるが。
 だからこそ、最初の話で使われるべきではなかったかと思う。アーモリーワン近辺に潜むガーティ・ルーをミネルバがMデテクターで索敵、発見するとか。或いは、ダイダロス基地をミラージュコロイドで姿を隠しつつ、安全に脱出しようとしたガーティ・ルーをMデテクターで発見し、撃沈するとか。
 本編からの設定だったのなら、やはり本編でも効果的に使って頂きたいものである。

・しかし、まあ、千葉氏が仰られる通り、設定について色々考えるのは楽しい。こうした楽しみを提供してくれた「種」と「種運」には感謝している。
 けれど、どうせならもっと前向きに楽しみたいとも思うので、設定子には願わくばもう少し相互矛盾の少ないものをお願いしたい、というのも一設定マニアの思いである。
 次回はNジャマー関連について。
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by shunichiro0083 | 2006-07-17 12:25 | 設定


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