2006年 07月 04日

スニーカー文庫版「種運アストレイ」第2巻のこと

・今さっき、読了しました。
 やっぱり、こちらも「Δ」の仕切り直しを受けてか、後半の展開がかなり駆け足になってしまっているように感じられます。
 決してつまらなくはないんですが、ちょっと物足りない部分があるのは否めないですね。別に無理にサー・マティアスと「一族」の決着をつけなくても良かったんではないかとも思いますし。

・では、この後は歯に衣着せない感想をば。きつい事を書くかもしれませんが、これもコアなファン故のこととご理解して頂きたく。



・まあ、やっぱり今回の一番の失策は「一族」という設定に尽きるのではないかと。
 前にも書きましたが、本編で「ロゴス」という大昔より続く謎の超国家的謀略組織、というものを出してしまった以上作り物な感じというのは否めないですね、僕としては。
 どうしても、こういうネタでやりたかったとしても、それならそれでまだ別の切り口があったと思うのですよ。別に、有史以来、人類を陰から守護して来たなんてものではなくても。普通に一大新興情報通信産業のボスにして、「ロゴス」すら正面切っての戦いを避けるほどの存在とかで良かったんではないですかね。
 けど、これだとマテイアスの方が相応しいか。と、なると再構築戦争時の地球全土の大混乱を貴重な教訓とし、そうした人類規模の戦乱を防ぐことを目的に有志によって創立された、世界規模の非政府ネットワーク、とか。
 まあ、他にも色々あったんではないでしょうか。

・そもそも「一族」がそんなに偉い存在であったとして、じゃあ先年の連合とプラントの戦いの時には一体何をしていたのか、と。
 あれこそ、人類の存亡に関わる大戦争であったと思うのですが、それにしては「一族」が裏から手を回したのはテスタメントをザフトから盗み出したくらい。ナチュラルとコーディネイターの全面衝突をどうやって終わらせるか、という自分とこの使命を全うしているようには悪いですが思えません。
 ここで、実はラクス派の停戦工作に力を貸していたが、連合軍とザフトの決戦は避けられなくなってしまったので、情報や装備を提供していたのだ-くらいのハッタリはかましてくれても良かったんではないでしょうか。
 っていうか、そうでもしなければ「一族」というものに作中におけるリアリティは与えられなかったと思うのです。

・だからこそ、逆に今回の2巻では「一族」が絡んで来ない、REPORT06・ドクターが面白く感じられたのかもしれません。
 しかし、実はここでも設定の整合性が破綻してしまっています。TV版におけるNJキャンセラーはその効果範囲が著しく小さく、MSに搭載される核エンジン一個をNJの影響から排除するに留まるのです。
 ですから、06のミッションの場合だと元より、原子力発電所の中と外で無線が使用出来ないのは当たり前と言えば当たり前なんですね。効果範囲が小さいから、NJの副次効果である無線妨害を無効化しても実際に使用可能となるまでには至らない訳です。
 が、今回の不手際は実はそこにあるのではなく。問題はかって「種」のフォトストーリーでNJキャンセラーを扱った時、一時的にレーダーが使用可能になった、という文章を入れてしまったことなんですね。
 まあ、細かい重箱の隅と言ってしまえばそれまでですが、同一人物が書いている文章の中でこれをやってしまったのは正直痛いですよね。
 書籍にまとめた時に修正しておけば良かったんでしょうが、そこには気がつかれなかったようで、そのまま収録されてしまいました。まあ、想像するにおそらく過去にストーリーを書いた時にはNJキャンセラーの設定がそこまで煮詰まってはなかったんでしょうねえ。
 お気の毒と言えば、お気の毒です。

・あとは、コミック版ではアウトフレームのガンカメラだけでレ-ザー通信を行っているのに、こっちでは何故かコマンドザクCCIのシステムが必要だったり、とか。
 まあ、これはフォローするなら実は06の話の後にコミック版20話が来る、ということになれば8が遠距離レーザー通信のやり方を学習していて、何らかのシステムを構築してアウトフレーム単独でも可能になっている、ということになるのでしょうか-強引ですが。

・ただ、弁護するわけではないのですが、やはり他人様が想像した世界観や設定なりを使って二次創作をするとなると、こういう細かな不具合が出て来るのはどうしても仕方のないことだと思います。
 自分では細部まで理解しているつもりでも、どうしても時間的な問題や記憶違いなどで、ディテールの狂いが出て来てもあんまり責められないでしょう。
 だから、僕はミスは指摘しても「アストレイ」というシリーズの全てを否定していませんし、これからもするつもりはありません。ただ、そういうミスがあったということを書いているだけです。
 それにしても、本編での設定と描写の不具合に比べれば大したことはありませんし、ね。だから、アニメではSFを描き切ることが出来ない、とか言われるのだとは思いますが、それはまた別の話。
 けど、そうした点を踏まえても、ドクターが「Xアストレイ」の頃と比べるといい人になっていたのがちと、気になりますな。
 
・とまれ、これでコミック、小説と二種類の「種運アストレイ」が完結したことになります。残りは今月末に出る、フォトストーリー版のみ。
 そうなったら、少し整理してみてもいいかもしれませんね。
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by shunichiro0083 | 2006-07-04 20:01 | アストレイ


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