2005年 08月 01日

PHASE-41 リフレイン

・-回想シーンに第三者の視点の映像が入っていることはもうとやかく言わないけれど、とりあえず今回の総集編で判ったことはアスランはカガリに相応しい男になる為に功を焦り、キラは愛しいラクスが襲われたために判断を誤った、ということであろうか。

・この先書く所があるかどうか判らないしいい機会なので今日書いてしまうけれど、「種運」という作品のキャラクターが皆頭が悪く思えるなら、それは皆デュランダル議長を引き立たせる為だろう、ということは考えられないだろうか。
 天才的な謀略家で、遠大な理想を持つ策士であるデュランダルの有能さを描くことこそ、今回の「種運」という作品の正否を左右する大事なポイントであったにも関わらず、それが上手く行かなかった為に苦肉の策としてカガリやアスラン、キラやラクス、マリューに虎、トダカ。果てはジブリールを始めとするロゴスのお歴々やセイラン親子まで、誰一人まっとうな能力を持たない人間として描かれざるを得なくなってしまったのである。
 現実問題として、僕は前作の「種」をアニメ作品としてはそれ程高く評価していないし、後半については殆ど視聴していない。だが、そんな僕でも今作における旧キャラクターの扱いが理不尽であると感じている。
 それは主に彼らの行動原理であり、また判断であろう。もしくは、彼らをそういう状況に追いやる為に世界がデュランダルに都合良く回っている、ということだろうか。

・無論、この辺りについては我々視聴者の間でも意見が分かれる所であろう。この意見に反対する人は、そんなことはない、というのかもしれない。ただ、ここで再三言って来ているように、カガリには何故かブレーンとなるべき人間がおらず、虎もマリューも、キサカもエリカも少女元首を陰からでも支えようとはしなかった。
 唯一、表向きにも私的にもカガリを支えようとしたのはアスランだったが、彼も当然ながら政治的基盤が弱く、カガリをサポートするとまではいかなかった。ユニウス条約を締結したカナーバがプラントの議長だったらアスランの後ろ盾にもなり得、状況も違ったかもしれないが、残念ながらC.E.73年の段階では政治の表舞台からは退いてしまった(かに見える)-今回も議長失脚の尻拭いの役を押し付けられないことを切に祈る。
 キラも何やらボーッと海や空を見ていただけだったし、ラクスはそんな彼氏の世話に夢中だったようだ。そんな彼らが転がり込んでいた先のマルキオ導師は、前作や「アストレイ」での三面六臂の活躍ぶりが嘘のように沈黙を貫き通していた。
 正直、これではやり手として(当時は)表現されていたセイラン親子にカガリが敵う訳がない。挙句の果てにラクスが襲われて逆上したキラとその一党は冷静な判断も出来ず、一方的に議長を敵と認識。
 更にはユウナとの政略結婚を受け入れたカガリを拉致監禁し、誘拐してしまうという暴挙に出た。これが平時なら連合各国やプラントからも元首級の人間がやって来ていて、言論を封殺することすら出来なかったろう。世界が戦時中であったからこそ、辛うじてオーブの面子は保たれた訳だ。
 また、トダカを筆頭にオーブ軍人はまっとうな判断が出来ぬ案山子揃いで、正直連合の各国や軍が同レベルだからカガリやキラの言動が問題にならずに済んでいるのである。だが、おそらくは世界で一番切れるであろう議長はその欺瞞を喝破し、いよいよアークエンジェルは叛乱分子として追われることとなったのだった。

・一方のロゴスもサトー一派のユニウスセブン落としに便乗してコーディネイターネガティブキャンペーンを行ったまでは良かったが、その後は失敗と失策の連続で、議長相手の情報戦に負けたのもむべなるかな。とてもではないが、長きに渡って世界の紛争をコントロールして暴利を貪って来た秘密結社とは思えない。
 このロゴスこそ、世界平和を妨げる存在と嘯く議長を容易く信じるシンらザフト軍人の頭のお目出度さも問題だが、それに輪をかけてまずいのが世界中の民衆-ナチュラル・コーディネイター問わず-の、見事なまでの衆愚っぷりであろう。
 あんな危険極まりない議長のロゴス排斥演説を、何の証拠の提示もなく唯々諾々と受け入れ、付和雷同する有り様は正直反吐が出そうである。確かに平和とは無縁な世界情勢ではあるにせよ、たった一人の演説で民衆の殆どが同じ方を向くという絵を見せ付けられるのはいい気持ちではない。
 あの議長の声明に対し、何の対抗手段も打たず、情報戦も仕掛けず、ただどこぞの基地に集結して決戦に持ち込むというのはクレバーな組織のやり方ではないだろう、多分。更に、そうした有効な手を何一つ打てずに後塵を排し続けたジブリールを、正規の連合軍将校に差し置いて対ザフト戦の最高指揮官に任命する辺り、既にロゴスの命運は尽きていた、と言えるのかもしれない。

・こういうキャラクターに囲まれることによって、デュランダル議長は優秀な人間として多くの視聴者から認められるに至った。だから、もう一言演出にケチをつけるなら、序盤から議長の芝居で何やら邪悪な笑みを浮かべさせたり、意味不明の言動をさせたり、ということはすべきではなかったと思う。
 第4期のOPのラストを見る限り、結局「種運」というのはキラ・アスラン・シンによる複数主人公性の群像劇に落ち着いたようだけれど、その三人が揃って議長の引き立て役でしかなかった事は残念としか言いようがない-無論、これから巻き返すという可能性もない訳ではないけれど、その役を担うのは唯一貶められていないラクスの出番なのだろう。
 実際、ラクスは「種運」において出番が殆どなかったことから、その立ち位置が落とされていない、ぽぼ唯一のキャラクターであると言っても過言ではない。前々回で議長が残したとされるノートを手に入れたことからも、議長に対し論理面で抗するのはラクスに間違いないものと思われる。

・何かモノローグでは「力に力で対抗するのではなく、言葉で」とか言っていたキラであったが、やっていることは「力には力で対抗すること」である。これ程までにモノローグと実際の映像が乖離した総集編も珍しい。
 アスランのAパートも結局、議長を信じるに至った具体的論理的な話が聞ける訳ではなかったが、かと言って情緒的で抽象的な説明もあんまりなかったのではないだろうか。ならせめて、
 『俺は、一度は亡命し祖国を捨てた俺を信頼してくれた議長を信じる』
とか、
 『あのままオーブにいたのでは、カガリを助けることなど出来なかった。だから、俺は?!』
という感じの真情を吐露する台詞があっても良かったんではないかと思う。

・虎専用ガイアはPHASE-26「約束」でハイジャックしたシャトルに何故か積まれていた、に一票。カーゴペイが小さいような気もするけど、まあ、それは「伏せ」していたと言うことで。

 満足度=☆/2★★★★(半分)
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by shunichiro0083 | 2005-08-01 00:34 | 感想


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