2005年 07月 02日
・さて、前回レジェンドの起動画面に出て来たOSの略称は以下の通り MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM GUNNERY UNITED NUCLEAR- DUETRION ADVANCED MANEUVER SYSTEM Ver.1.62 Rev.29 (提供/シャア専用ブログさん。ありがとうございます) この英文、訳するのがなんか非常に難しいのだが、敢えて意訳すれば“統合された火器と核デュートリオンによる次世代機動システム”という感じだろうか。 ・そこで問題となるのが、NUCLEAR-DUETRIONの部分である。これの後のDUETRION-デュートリオンという単語は普通に検索をかけたり、辞書を引いても出て来ないので、おそらくは造語であると推測される。 前回、今月号のHJ誌にはインパルスに搭載されたデュートリオンビーム送電システムの原理が載っていると書いた訳だが、こちらを紹介するとこうなる。 「デュートリオン放射を利用した、局所的ペタトロン崩壊/電力の相互交換」 おそらくこれの意味する所は、デュートリオンビームを受けることによってシステムの受容側にセットされた何らかの物質-おそらくはペタトロン-が崩壊=核反応を起こし、その時放射される放射線を直接電力に変換する、一種の熱イオン変換方式発電ではないだろうか※。 この推論が正しいとすれば、何故、デスティニーシルエットの開発が断念されたかも合理的に説明出来る。デスティニーシルエットはザフト製のIWSPとも言うべきものだが、過剰とも言うべき武装ゆえにエネルギー効率が悪く、頻繁にデュートリオンビーム送電システムを用いねばならないことから開発が断念されている(「MSV」より)。 しかしながら、エネルギー切れを起こした機体に対してバッテリーをチャージするのがデュートリオンビーム送電システムであり、理論上エネルギー切れはなくなったととするなら、この説明もいささかおかしいのではないかと思う。 何故なら、如何に短時間でバッテリーを消費するにせよ、その都度母艦からデュートリオンビームを放射して貰えば済む話だからである。短期間にエネルギーを消費し、その都度母艦近くに戻るのが問題だというのなら、それこそスカイグラスパーのような中継機を用いればいいことではないだろうか。まあ、頻繁に母艦近くに戻らなければならない、というのが欠点であると言えばそれまでであるが改善出来ない訳ではないだろう。また、その為のシルエットフライヤーなのではないだろうか。 ・だが、受容側に限界があるとするなら、それも納得の行く所である。核燃料としてのペタトロンを用い、その核反応によって電力を発生させるシステムである以上、そこには一定の限界が生じるのも道理である。 そしてこのペタトロンは、おそらく十回にも満たない核反応を起こす分しかインパルスに積み込めないのではないだろうか。ノーマルのシルエットであればそれだけあれば充分なのであろうが、高い攻撃力を備えるデスティニーはそれと引き替えにエネルギー消費量が多大であり、ペタトロンが足らなくなってしまうのではないかと思われる。 だからこそ、デスティニーガンダムには新型の動力源が必要とされたのである。 ・では、デスティニーやレジェンドに搭載された画期的な動力源とは何であろうか。前回、デュートリオンビーム送電システムからスピンオフした技術ではないかとも書いたが、結論から言えばこの送電/発電システムを母艦からのデュートリオンビームなしに作動させ、チャージを行うものではないか、というものである。 つまり、機体にデュートリオンビーム発生装置を内蔵し、バッテリー切れになると自動的に発電し、チャージするという自己完結したシステムである。次回のデュートリオンビーム発生に必要とされるエネルギーは、活動用とは別に充電しておけばいい。と、同時に、コアブロックシステムを排除したことで核燃料の搭載量を大幅にアップさせたか、或いは変換効率を大幅に上げることで一回の発電時における消費量を引き下げ、インパルスに比して稼働時間の延長にも成功したのだろう。これらをコンパクトにまとめたものが、新型動力源なのではないだろうか。 言い換えるなら、デュートリオンビーム発生装置が点火プラグで、ペタトロンが燃料ということであり、これなら新型エンジンという言い方にも納得が行く-意外と、新型エンジンで発生した熱エネルギーはパルス状に変換・伝達され、直接機体各部を動かすのだったりして。 こうして新型動力源を搭載した機体は、理論上核エンジンに次ぐ稼働時間を得たのではないかと思われる。この核反応を用いたものであれば、自由中性子を阻害するNジャマーにも干渉妨害されることはない筈だからである。 そういう意味では、インパルスに採用されたデュートリオン送電システムとはこの新型動力源のプロトタイプ、若しくはデータ採取の為のものではなかったかと推測するのだ。ことによったら、インパルスに合体システムが採用されたのは後者を確実に行う為だったのかもしれない。 ※ちなみに、こうした放射性同位元素の崩壊エネルギーを電力に変換するものは一般的に原子力電池と呼び習わされている。ただし、現実には熱イオン変換方式ではなく、崩壊エネルギーを更に熱エネルギーに変換し、熱電素子によって発電する熱電変換方式が主流である。 こうした原子力電池-或いはRPG:ラジオアイソトープ発電器は太陽電池が使用出来ない、火星ロボット探査船、木星、土星およびさらにより遠方の惑星に至る深宇宙探査機用の電源として、必要不可欠のものとなっている。 では、何故、C.E.世界ではMSの動力源として採用されなかったのかと言えば、システムの問題から大出力が見込めない、ということだろう。温度差を利用する熱電変換方式では、大出力を求めようとすると冷却の為に発電量を上回る電力を用いて冷却しなければならなくなってしまうのだ-これは、Nジャマーが散布された後に地上でもRPGによる電力供給が出来なかった理由でもある。原子炉で発生した熱量を用いて蒸気タービンを回す原子力発電所のような大出力を、RPGでは実現出来ないのである。 実際、Nジャマーキャンセラーによって原子炉の搭載を可能にしたフり-ダムやジャスティスも、発電にはMHD方式を採用している。つまりこれは、熱電変換素子の効率が向上していないことの傍証でもあるのだ。 一方、ザフトでも熱イオン変換方式の原子力電池の開発にはこれまで成功していなかったのではないか、と思われる節がある。何故なら、前述の「MSV」の記事では、ペタトロンを用いた発電システムの開発に成功したのは、ユニウス条約締結以降のことであるらしいからである。 こうした理由から、C.E.の量産型MSには原子力電池が採用されなかったのではないだろうか。 なお、実際には土星探査機カッシーニに積まれたRPGは三台で4500wの発電が可能であるらしい(これが一台辺りの発電量なのか、それとも三台のRPGによる総合計なのかは不明)。参考までに、C.E.では不明だが、U.C.ではMS1機を動かすのにkw単位の電力が必要となる(MSZ-006/Zガンダム:2,020kw、MSZ-010/ZZガンダム:7,340kw、RX-93/νガンダム:2,980kw)。 これらの数字がそのままC.E.世界に適応出来る訳ではないだろうが、考察の一助にはなると思われるかと。 ※今回、参考させて頂いたリンク ・文部科学省ホームページ「原子力百科事典」ATOMICA/放射線利用/放射線の理工学利用/工業利用/原子力電池 ・原子力なんでも相談室>温度差を直接電気エネルギーに変える原子力電池の開発はしているか
by shunichiro0083
| 2005-07-02 18:26
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