2005年 05月 15日

PHASE-30 刹那の夢

・キラが皆に語る内容は平和的な反戦運動主義者なら問題ないと思うのですが、やはりフリーダムという常軌を逸した力の持ち主が活動の拠り所とするには問題があるように思えます。
 確かに、目の前の戦いを止めたいと思い、それだけの力を行使出来る人間がそれをしないのはおかしい、という意見もあるとは思います。が、それにしてもやり方があるでしょう。ピンポイントで旗艦を潰し、指揮系統を混乱させて撤退させるとか。チャフやNジャマーをぶん撒いて、両陣営を戦闘不能に追いやるとか。
 キラのやっている事の是非はこの際棚上げするにしても、その方法は上手くないとしか言えないのではないですかね。力を持つ者には、その力を最善の方法で使わねばならない責務があるとも思うのです。

・アマギ一尉の台詞にも違和感を感じました。
 まあ、彼らの中ではウズミが実践していた理念を守る=オーブを守るだったんでしょう、きっと。しかしながら、それが間違っていたことは図らずもウズミ自身によって証明されていた訳で。事実、オーブは二年前、武力によって侵略占領されているのですから。
 問題なのは、彼らオーブ軍人がそういう冷徹な事実から何一つ学んでいない、ということでしょう。
 アマギ一尉らの言動からはオーブの崇高な理念は、オーブという国を守る楯にはなり得なかった、という現実から目を背けているようにしか感じられませんでした。好意的に解釈するのなら、彼らが守るべきは一に五大氏族で、第二にオーブの理念。国民の安全やその財産はその次である、ということにならざるを得ません。
 そして、オーブが事実上の君主国であるなら、それでも確かに間違ってはいないのでしょうね-だとすると、家族を殺されてアスハ家を恨むシン、というのは滑稽な道化になってしまうのですが。

・その一方、増長する増長すると言われ続けたシンでしたが、ここに来ていよいよ増長ぶりを遺憾なく発揮し始めた・・・かに見えます。
 しかし、シンの今回のアレはどうも増長というよりは主にステラの容態が悪化してしまっているのに、護ると約束した自分をステラは(しかも、死相が浮いています)それでも信じてくれているのに、何も出来ない自分の無力さに苛立ち、腹立ち。それがやり場のない感情となって、考えのない、出来ない言動として現れているのではないかと思いました。この辺りの描写は上手いと思います。
 それでも、心あらずといった様子でもちゃんと同僚のルナマリアに声をかけているのは、シンが骨の髄までやさぐれてはいない証拠でしょう。

・タリアと軍医、ちょっと無用心ですね。エクステンデッドの捕虜という、言わば敵の機密事項の取り扱いに関する会話を誰が聞いているかも判らない廊下で行うとは。やはりタリアも不本意な戦いの連続で、疲れを見せていたのでしょうか。
 まあ、確かにシンは優れたMSパイロットな訳ですが、実際はまだ思春期の少年です。当の本人が聞いているとは思っていないからこその会話であったとはいえ、聞かれてしまえば頗る心証を害してしまうのは仕方のないことでしょう。
 本来ならそういう部分のフォローをするのが隊長たるアスランの仕事なのでしょうが、アスランはどうにもそういう腹芸が苦手と来ています。でなきゃ、あんなにイザークと仲が悪くなったりはしなかったでしょうし。
 
・そんなアスランが思い悩むのは現在のミネルバが-ひいては自分が置かれている大局的状況です。コーディネイターがナチュラルに抱く憎悪。そうした憎悪の連鎖を断ち切りたい、とする思い。更には、その憎悪の連鎖を食い物にする存在。
 そして、自分が愛する少女を助けるべくザフトに復帰した筈が、結果的にはそれが彼女を苦しませ、悲しませる結果となっているという皮肉。このことを自分に指摘した親友は己に刃を向け、情けをかけられ撃墜されるという有り様。
 そりゃあまあ、冷静に考えれば考える程、誰にも会いたくはなくなるでしょう、アスランは。その上、アスランはシンからその実力を疑われ、もっとしっかりしてくれ、と非難される始末。まあ、シンがアスランにああいうことを言ったのは、額面通りの意味ではなく、期待を込めてのものだったと思うのですが・・・(自信なし)。
 けど、アスランはシンが連合軍を叩き潰すべき敵であると認識し、自分もそうだろうと思われていたことに少なからぬショックを受けていたようでしたが。そりゃあ、自分のことをきちんと人様に語らなければ、見えている部分から判断されても仕方ないのねえ、アスランくん。

・それはさて置き。で、タリアと軍医の会話からステラの現状-容態の著しい悪化と、その未来-研究材料としてのみ生き長らえることを知ったシンは軍人としてあるまじき行動に出ます。しかしながら、ほのかな想いと確かな決意を胸に抱く少年としては当然と言えば当然の行動である、とも言えます。
 切羽詰ったシンのこの行動ではありますが、艦内での不手際さ加減は兎も角。ミネルバを出てからの行動はちゃんと考えてあったようです-前回の戦闘データから敵艦隊の位置を予測し、その上でガイアのコードを発信することで確実にネオと接触出来るようにしていたのですから。まずまず、と言えるのではないでしょうか。
 前述のシンの危機を救ったのは、何故かレイでした。その意味有りげな台詞からは、ブーステッドマンたるステラへの同情とも共感とも取れる思いが感じられます。
 そのレイへの尋問の際、タリア艦長は『これも議長からの指示なのか?』という趣旨の台詞を発しています。これは多分、ロドニアのブーステッドマン研究施設捜索の時、レイがタリア艦長に面談していることを差すのではないかと思います。だとすれば、やはりあの捜索は議長からの極秘の命令だった、と考えるべきなのでしょう。
 そして、レイはF.A.I.T.H.でこそないが、議長の命を受けて独自に活動する何か特殊なエージェントである、という推測もここからは出て来ます。単なる個人的な縁故では軍を動かすことは出来ないですからね。レイは何らかの形でF.A.I.T.H.以上の権限を持った存在だと考えるべきなのではないかと。

・しかしながら、レイが最終的にシンの手助けをしたのも、シンが必ずミネルバに帰ると約束したからでしょうね。シンが仲間を見捨てる筈がないと確認したから、レイは助力したのでしょう-この辺りは「種」のキララク脱出シーンともろ被るのであり、それに関する監督の発言をたぶらせるなら、レイはシンのことを信頼していない、ということになってしまいますが-。
 多分、シンの中ではステラを連合軍に返すのと、ミネルバを裏切ることがイコールになっていないのでしょう。ひょっとしたら、シンは自分がザフトという軍組織に所属している軍人である、という根本的な認識がないのかもしれませんが、それはさて置き。
 ステラに対する想いはシン・アスカ個人のものであり、それは軍人としてのシンが為さねばならない規範よりもより上位にあるのでしょうね。ですから、今回のシンの行動は増長している云々よりも、やはり純粋に衰弱し、モルモット扱いの人生しかない、というステラを救いたい一心からのものだったと思います。
 シンがステラと行動を共にするという選択をしなかったのは、ミネルバでの一件で自分ではステラを護りきることが出来ない、という現実を認識していたからだと思います。その上で、どんな人間かは判らないが、ステラが心からの信頼を寄せているであろう“ネオ”という人物に託すなら、きっとステラを助けてくれるだろうと、苦渋の判断をしたのでしょう。
 と同時に、シンは-あれでも-シンなりにミネルバという艦に対しての責任を感じていたのだと思います。さればこそ、連合軍に投降してでもステラと一緒に行く、ということはしなかったのではないでしょうか。単純にステラを護るという考えに凝り固まっていたならば、シンはそのままネオに付いて行っていたと思うからです。
 そんな無責任なことの出来ないシンはネオからステラの身の安全に関する言質を取ると、あの桜色の貝がらを預けて去ります。ネオの腕の中で安らぐステラに、自分は敵わないという砂のような現実を噛み締めつつも、そうするしかシンには出来なかったのですね。

・一方のネオですが、仮面の所為で表情は確認出来ませんが、取り敢えず彼個人の考えとしてはステラを戦場に出すことには反対のようです。確かに、あれでは充分な休息がステラには必要であるのは間違いありませんし。
 そうなると、やはり事態は一指揮官でしかないネオの思惑を超えて、ジブリールからの命令で動き始めるようです。もし、ネット上で広まっているネタバレが正しいのであれば、ネオは今回シンと交わした約束をいともあっさりと破ったことになるのですから。
 個人的にはこれがシンとネオの因縁にならないことを望みます。何せ、今のシンの周りには敵が多すぎますからね。レイだって何時まで味方かどうかも判らないし。このままでは遅かれ早かれ、ミネルバは駄目になると思います。
 そうならない為にももっとしっかりしてくれ、アスラン。

・どうやら、アークエンジェルには十機弱のムラサメが搭載出来るだけのキャパがあるようです。そんなに大きいハンガーのようには見えませんが・・・。

・あのシャワーシ-ンはタリア艦長だったんでしょうか。一瞬、急に発育が良くなったカガリかと思ってしまいました。

・来週はデストロイ登場ですね。さあ、パイロットは誰になるのやら。

 満足度=☆☆☆/2★★(二個半)
[PR]

by shunichiro0083 | 2005-05-15 14:25 | 感想


<< 語るべき言葉、描くべき主張、伝...      種運を巡る論争あれこれのこと >>